耳鼻と臨床
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[第28回日本嚥下医学会]脳梗塞急性期の嚥下障害と栄養について
巨島 文子大島 洋一牧野 雅弘小田 健一郎
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2006 年 52 巻 1Supplement1 号 p. S21-S24

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抄録
脳梗塞急性期には嚥下障害を高率に合併する。嚥下障害例では呼吸器感染症、栄養不良、在院日数の延長、死亡率が増大することが知られている。嚥下動態に即した訓練で食事摂取が可能となり得る。意識レベルJCS (Japan coma scale) 1桁以下で嚥下障害を合併した急性期脳梗塞症例96名 (男44名、女52名、平均年齢75.7歳) について栄養調査を施行した。消化管出血、悪性腫瘍などの合併、手術症例を除外した。(1) 経口摂取が可能となった症例は91名 (94.8%)。(2) それまでに要した平均日数は11.2日。(3) 経過中に栄養状態が低下 (TP<6.0g/dl、Alb<3.5g/dl) のした症例は56名 (58.3%)。(4) 感染症の合併率は栄養不良例で58.9%、良好例で10.0%。栄養不良例で感染症罹患率は高値であった。適切な訓練によって早期に嚥下機能の回復が望めることから、急性期においてはできる限り高カロリーのアミノ酸を含有した末梢静脈栄養を行うことは感染症予防の点からも有用である。
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