耳鼻と臨床
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Myringoplastyの術式の違いによる聴力成績の検討
生理的な鼓膜形態の温存の意義
木村 忠司磯野 道夫唐澤 千明齋藤 和也村田 清高
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2006 年 52 巻 3Supplement2 号 p. S97-S101

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抄録

われわれは、外耳道には切開を加えず、鼓膜穿孔縁より上皮のみを剥離し、上皮と固有層との間に移植片を挿入し、いわゆるサンドイッチ法 (inlay法) に近い形とするMyringoplastyを開発し、従来のサンドイッチ法との術後聴力を比較し、検討を行った。その結果、従来のサンドイッチ法と比べ、われわれの開発したMyringoplastyにおいて有意に術後聴力の改善が得られた。この方法では、外耳道の剥離や、鼓膜の剥離もほとんど行わないため、外耳道の形態やanterior tympano meatal angleを温存でき、鼓膜の形態をほぼ生理的状態に維持できる利点がある。この差が術後聴力に影響を及ぼしたものと思われた。今後、従来のサンドイッチ法を行う際にも、鼓膜の剥離範囲を可能な限り少ない範囲で行う工夫が必要である。術後聴力のさらなる改善には、生理的な鼓膜形態の温存が重要な意味をもつものと考えられた。

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