抄録
2000年-2004年の間に当科で真珠腫性中耳炎に対して鼓室形成術を施行した46耳を対象に、2000年に日本耳科学会から提案された「聴力改善に対する成績判定」に基づいて術後の聴力成績を検討した。聴力改善は60.9% (28/46耳) であった。当科における真珠腫性中耳炎手術の基本術式は、外耳道削除型鼓室形成術であり、連鎖再建には軟骨を用い、再建法はIII-C型が最も多かった。筋膜を用いた軟性外耳道再建術や耳介軟骨と骨パテを用いた乳突腔部分充填術を併用することにより、経過観察中には真珠腫の再形成性再発および軟性再建後のポケット形成を認めなかった。また、術後の乳突腔障害を予防することができた。