耳鼻と臨床
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53 巻, 1 号
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  • 鈴木 幹男
    2007 年 53 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Hirschmann (1901) が膀胱鏡を用いて鼻腔を観察したのが鼻科領域における内視鏡利用の最初の報告といわれている1)。耳鼻咽喉科領域の中で特に鼻科で内視鏡下手術が発達した理由として、 (1) 額帯鏡を用いた手術では観察不可能な上顎洞や前部篩骨胞、前頭洞の内部をそれぞれの開口部を通して十分清掃ができること、 (2) CTをはじめとする画像診断が発達し副鼻腔の解剖・副鼻腔炎の病態把握が可能になったこと、などが挙げられる。鼻科領域の内視鏡下手術は慢性副鼻腔炎の手術から始まったが、最近では鼻出血止血術2)、歯原性嚢胞手術3)、髄液漏閉鎖術4)、鼻副鼻腔良性腫瘍切除5)、鼻副鼻腔悪性腫瘍切除6) に用いる報告がみられる。これまで鼻副鼻腔良性腫瘍はen bloc切除、出血コントロールの観点から、ルック手術・デンカー手術や外側鼻切開・Weber切開をはじめとする顔面に皮切をおく方法を用いて摘出されてきた7), 8)。しかし、内視鏡光学システムの進歩、内視鏡を用いた手術手技の改良、止血用機器の進歩、ナビゲーションシステムの導入に伴い、鼻副鼻腔良性腫瘍を内視鏡下に切除する報告が増加している5), 6), 9)-17)。
  • 西崎 和則, 冨永 進, 福島 邦博, 假谷 伸, 片岡 祐子
    2007 年 53 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    医用画像情報システムは、クライアント端末から画像サーバーに接続し任意の画像を作成・高速表示できる革新的なPACS (picture archiving and communication system) 環境を日常診療の場に提供することができる。われわれは岡山大学附属病院放射線部に導入されている医用画像情報システムを利用し、側頭骨病変のネットワーク対応リアルタイムイメージングによる画像診断を行っているのでその概要を紹介する。外来、病棟など院内ネットワークに接続された端末から付属ソフトを起動して画像保管および配信/処理サーバーにアクセスし、側頭骨病変を描出するのに最適な多断面再構成像 (MPR) および3次元再構成画像 (3DRI) を作成し画像診断を行う。例として、後に手術が施行された先天性中耳真珠腫症例を取り上げた。医用画像情報システムを利用した双方向性画像診断は、診療にあたる耳鼻咽喉科医が主体となって画像を任意に加工できるので、画像診断の精度を向上させることが可能である。
  • 澤津橋 基広, Masaharu WASHIZAKI, Aya KAKIZOE, Masamichi ODA
    2007 年 53 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Retropharyngeal calcific tendinitis/ retropharyngeal tendinitis rarely occurs, and it is therefore difficult to distinguish from a retropharyngeal abscess. We herein describe a rare case of retropharyngeal tendinitis. A 14-year-old woman was admitted to our hospital because of a high fever. The pharyngo-laryngeal examination showed a swelling of the retropharyngeal submucosa. Neither tonsillitis nor laryngitis was observed. A neck examination revealed multiple cervical lymphadenopathy, neck stiffness and severe cervical pain. A neck axial contrast-enhanced CT scan demonstrated a low-density lesion with a slightly enhanced rim in the right parapharyngeal space and a low attenuation lesion in the prevertebral position anterior to Cl and C2. The retropharyngeal tendon showed an increased signal intensity on T2w MR imaging. The patient underwent approptiate treatment with antibiotics and steroids. Thereafter, the patient's condition improved and she showed no evidence of recurrence more than two years later. MR imaging is therefore considered to be necessary to accurately diagnose Retropharyngeal tendinitis.
  • 佐藤 豪, 関根 和教, 安藤 正裕, 陣内 自治, 戸田 直紀, 阿部 晃治, 田村 公一, 武田 憲昭
    2007 年 53 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    2000年-2004年の間に当科で真珠腫性中耳炎に対して鼓室形成術を施行した46耳を対象に、2000年に日本耳科学会から提案された「聴力改善に対する成績判定」に基づいて術後の聴力成績を検討した。聴力改善は60.9% (28/46耳) であった。当科における真珠腫性中耳炎手術の基本術式は、外耳道削除型鼓室形成術であり、連鎖再建には軟骨を用い、再建法はIII-C型が最も多かった。筋膜を用いた軟性外耳道再建術や耳介軟骨と骨パテを用いた乳突腔部分充填術を併用することにより、経過観察中には真珠腫の再形成性再発および軟性再建後のポケット形成を認めなかった。また、術後の乳突腔障害を予防することができた。
  • 五十川 修司, 鳥谷 龍三, 犬童 直哉, 大礒 正剛, 田中 文顕, 鳥谷 尚史, 中野 幸治, 江浦 正郎
    2007 年 53 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    湿疹におけるかゆみの誘発に関してはヒスタミンが重要なメディエーターと考えられている。従って、外耳道湿疹におけるかゆみの軽減に抗ヒスタミン薬は有用であると予測される。今回、われわれは外耳道湿疹患者 (15歳以上) を無作為選択 (封筒法) により、ステロイド外用剤 (ベタメタゾン・ゲンタマイシン配合剤) 単独治療群 (30例) と第二世代抗ヒスタミン剤である塩酸フェキソフェナジン1201ng/日を併用した治療群 (39例) に分け、1週間の治療後に外耳道所見、ならびに自覚症状 (かゆみスコアにて評価) の改善度を比較し、塩酸フェキソフェナジンの外耳道湿疹における有用性を検討した。治療終了時における外耳道所見の改善度ではステロイド外用剤単独治療群と塩酸フェキソフェナジンを併用した群の間に有意差は認められなかったが、自覚症状 (かゆみ) においては併用群に有意に高い改善効果を認めた (p<0.05)。外耳道湿疹におけるかゆみに対して塩酸フェキソフェナジンの有意な改善効果が示されたことになり、外耳道湿疹におけるこの薬の有用性が示唆された。
  • 宮之原 郁代, 松根 彰志, 相良 ゆかり, 西元 謙吾, 黒野 祐一
    2007 年 53 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    第2世代抗ヒスタミン薬である塩酸レボカバスチンの点鼻液を用いて、スギ花粉症に対する初期療法の検討を行った。対象はスギ花粉症患者16名で、スギ花粉の飛散開始日の2 週間前から塩酸レボカバスチン点鼻液が単独で投与されたものを初期治療群 (10名)、花粉飛散開始日以降に受診し塩酸レボカバスチン点鼻液が投与されたものを飛散後治療群 (6名) とした。飛散初期において鼻汁で、有意に初期治療群の症状スコアが低く、また、symptom medication scoreは飛散期を通して有意に初期治療群のスコアが低かった。有害事象はみられなかった。以上より塩酸レボカバスチン点鼻液の初期療法としての有用性が示唆された。
  • 名倉 三津佳, 岩崎 聡, 浅井 美洋, 大蝶 修司, 加納 有市, 東 尊秀, 峯田 周幸
    2007 年 53 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    通年性アレルギー性鼻炎患者22名にベシル酸ベポタスチンを投与し、臨床症状、QOL (quality of life) の改善効果をJRQLQ (日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票) を用い検討した。くしゃみ、鼻汁、鼻閉の症状スコアは、それぞれ投与3日目から有意な改善効果を示した。QOL 17項目のスコアも、投与3日後において改善傾向を示し、特に「勉強・仕事・家事の支障」、「精神集中不良」、「思考力の低下」、「外出の支障」、「倦怠感」、「疲労」、「気分が晴れない」、「いらいら感」の8項目は投与3日後から有意差が認められた。ベシル酸ベポタスチンは症状改善効果に優れているだけでなく、QOL改善効果においても早期より有用であることが確認された。
  • 鳥谷 尚史, 江浦 正郎, 鳥谷 龍三, 犬童 直哉, 田中 文顕, 中野 幸治, 大磯 正剛, 五十川 修司
    2007 年 53 巻 1 号 p. 46-54
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    小児通年性アレルギー性鼻炎患者の服薬コンプライアンス向上に貢献できる可能性の有無を探るため、エバスチン口腔内崩壊錠 (OD錠) の臨床効果と服薬感の調査を行った。小児通年性アレルギー性鼻炎患者124例にエバスチンOD錠 (体重40kg未満は5mg、40kg 以上では10mg) を1日1回、約2週間投与し、投与前後の自覚症状と鼻局所所見の変化を調べ、さらに投与後の受診時にOD錠の服薬状況、服薬感をアンケートにて調査した。投与後には、自覚症状 (くしゃみ発作、鼻をかむ回数、鼻閉、日常生活の支障度) および鼻局所所見はいずれにおいても有意に改善した。アンケート結果から服薬状況と服薬感の関係を解析すると、水と一緒に服用する従来の薬剤と比較して5mg OD錠では75.0%で「OD錠が飲みやすい」と答え、「味が良い」ことがその主な理由であり、利便性に関する理由「どこでも飲めるから良い」や「水がいらない」を上回った。一方味のしない10mg OD 錠では「飲みやすさ」は従来の薬剤と同率であった。このように小児においては服薬しやすいかどうかを決定する最も重要な因子は、味であることが分かった。
    これらの結果から、エバスチンOD錠は小児通年性アレルギー性鼻炎の症状改善に有用性があり、特に5mg OD錠は味が良く、服薬コンプライアンス向上に十分寄与できると考えられた。
  • 2007 年 53 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
  • 君付 隆
    2007 年 53 巻 1 号 p. 62-64
    発行日: 2007/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    後天性の外耳道閉鎖症で、鼓膜固有層の瘢痕性肉芽が肥厚し、外耳道の深部から徐々に閉鎖する場合がある。耳鏡所見では、一見鼓膜が浅在化したように見え“Medial Meatal Fibrosis”と称する。
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