耳鼻と臨床
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一般開業医における小児アレルギー性鼻炎の実態と診断における問題点
荻野 敏門田 亜矢有本 啓恵入船 盛弘大川内 一郎菊守 寛瀬尾 律竹田 真理子玉城 晶子馬場 謙治
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2007 年 53 巻 2 号 p. 83-89

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抄録

小児のアレルギー性鼻炎の実態を阪神地区の開業医 (耳鼻咽喉科) など9施設を受診している患者を対象にアンケートなどにより調査した。155名が対象となったが、性別では男児が多く、受診年齢、発症年齢とも男児がより低年齢であった。60%以上の症例でアトピー疾患の既往を有し、喘息の合併も13%で認められた。症状としては、鼻水94.1%、鼻つまり89.9%とくしゃみよりも高率で、また目の症状も約60%で訴え、半数以上の症例で咳、痰などの下気道症状を訴えていた。アレルゲン陽性率は、ハウスダスト (HD) 91.4%、ダニ91.2%と最も高率であり、次いでスギ45.6%、ヒノキ38.9%、カモガヤ38.2%であり、小児では花粉に比較し通年性の抗原の陽性率が高かった。HD特異的IgE抗体と鼻汁中好酸球との関係を検討したが、今回は明確な関連を認めることができなかった。すなわちアレルギー性鼻炎の診断に当たっては一つの検査で確定できないことも多く、各種検査、病歴などから総合的に診断することが望ましいと思われた。

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