抄録
鼓室型グロームス腫瘍の1例を経験した。患者は57歳、女性。主訴は拍動性耳鳴と難聴であった。近医で赤色鼓膜を指摘され滲出性中耳炎として鼓膜切開を受けた際、大量の出血が見られた。CT、MRIの結果から鼓室内に限局したグロームス腫瘍と診断された。治療は経外耳道的に摘出術を行った。前日の血管造影で上咽頭動脈の枝が栄養血管として確認されたが塞栓術は行わなかった。術中、下鼓室からとアブミ骨近傍からの流入血管が確認された。腫瘍を明視下に置くため骨部外耳道皮膚を鼓膜と一連として十分に剥離挙上を行うことと、骨部外耳道削開による十分な鼓室腔の確保、微小双極電気凝固の使用が手術上のポイントと考えられた。少量の出血で全摘出が可能であり、術後、拍動性耳鳴は消失した。