耳鼻と臨床
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患者が訴える口内の「異変」について
松本 あゆみ芦谷 道子井野 素子南 豊彦赤城 ゆかり井野 千代徳
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2007 年 53 巻 5 号 p. 242-250

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抄録

口内に「何かができた」「何か変」として耳鼻咽喉科を受診する患者は少なくない. そこで患者は何を異常ととらえるか調べ、患者の心の背景と関係について検討した. また、心気症の概念からこれら症例を検討し、当科での治療方針についても言及した. 患者がとらえる異常は有郭乳頭が最も多く、次いで溝状舌、葉状乳頭 (舌扁桃) であった. 口の中に症状がなく偶然に異常を発見した症例の多くは口内の突起物をその対象とし有郭乳頭が圧倒的に多く、次いで上顎外骨腫、口蓋扁桃膿栓などであった. 口の中に症状があり異常を発見した症例はその対象は比較的に突起物は少なく、溝状舌、地図状舌、舌苔、歯列圧痕などをその対象とした. 治療では単に「異常なし」とするのではなく筆者らが作成した口腔アトラスを示し説明を行っている. 「健康な心気症」、「一過性心気症」と判断される症例には極めて有効であったが、うつ病などを背景にもつ「二次性心気症」と判断される症例には有効性は低かった.

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