耳鼻と臨床
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53 巻, 5 号
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  • 安達 一雄, 梅崎 俊郎, 清原 英之, 白土 秀樹, 中島 寅彦, 小宗 静男
    2007 年 53 巻 5 号 p. 235-241
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頸部郭清術の嚥下機能に対する影響について検討を行った。頸部郭清術を行う際に迷走神経咽頭枝を損傷すると咽頭筋麻痺によりクリアランスが低下する。今回の検討では再建例も多く、クリアランス低下に加え、喉頭挙上制限や、嚥下惹起が遅延することで、誤嚥のリスクが高まることが明らかとなった。そのため、極力迷走神経咽頭枝を温存すべきであると考える。
  • 松本 あゆみ, 芦谷 道子, 井野 素子, 南 豊彦, 赤城 ゆかり, 井野 千代徳
    2007 年 53 巻 5 号 p. 242-250
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    口内に「何かができた」「何か変」として耳鼻咽喉科を受診する患者は少なくない. そこで患者は何を異常ととらえるか調べ、患者の心の背景と関係について検討した. また、心気症の概念からこれら症例を検討し、当科での治療方針についても言及した. 患者がとらえる異常は有郭乳頭が最も多く、次いで溝状舌、葉状乳頭 (舌扁桃) であった. 口の中に症状がなく偶然に異常を発見した症例の多くは口内の突起物をその対象とし有郭乳頭が圧倒的に多く、次いで上顎外骨腫、口蓋扁桃膿栓などであった. 口の中に症状があり異常を発見した症例はその対象は比較的に突起物は少なく、溝状舌、地図状舌、舌苔、歯列圧痕などをその対象とした. 治療では単に「異常なし」とするのではなく筆者らが作成した口腔アトラスを示し説明を行っている. 「健康な心気症」、「一過性心気症」と判断される症例には極めて有効であったが、うつ病などを背景にもつ「二次性心気症」と判断される症例には有効性は低かった.
  • 佐藤 慎太郎, 富山 里那子, 倉富 勇一郎, 井之口 昭
    2007 年 53 巻 5 号 p. 251-255
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    咽喉頭に限局するアミロイドーシスは比較的まれである。今回われわれは、喉頭と咽頭の2カ所に限局した原発性アミロイドーシスの1例を経験した。症例は58歳の女性で、他院で喉頭に腫瘤を指摘されていたが、その後通院を中断していた。しかし呼吸困難感が出現し、徐々に増悪してきたため、当科を紹介された。左仮声帯から声門腔に突出するような表面不整な隆起性病変を認め、上咽頭の右側壁にも隆起した結節状の病変を認めた。気道の確保と生検を兼ねて喉頭の病変をラリンゴマイクロ下にCO2レーザーにて切除・蒸散した。摘出した組織の病理診断ではアミロイドーシスであった。また、咽頭の生検でも同様の病理所見が得られた。他部位にアミロイドーシスの病変を認めなかったことから限局性結節性アミロイドーシスと診断した。切除後1年2カ月経過した時点で、咽頭・喉頭病変の増大は認めていない。
  • 讃岐 徹治, 湯本 英二
    2007 年 53 巻 5 号 p. 259-262
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    片側声帯麻痺は気息性嗄声や嚥下障害を来す。これらの症状を改善させる外科的治療として、甲状軟骨形成術I型や披裂軟骨内転術、外側輪状披裂筋牽引術、声帯内注入術などが行われている。披裂軟骨内転術は、披裂軟骨の筋突起を糸で牽引・固定することにより声帯を生理的に近い状態で正中に内転、固定できる優れた術式である。われわれは片側声帯固定症例に対して披裂軟骨内転術を行った中で術後数カ月経過して患側声帯の可動性が回復した症例を2例経験した。声帯固定の回復が期待できる症例の手術適応時期としては、発症後6カ月以降であるが、今回7カ月目と10カ月目で声帯可動性の回復を来した症例を経験した。声帯固定の原因がリウマチによる輪状披裂関節の固着などの神経障害でない場合、あるいは特発性麻痺と考えられる場合に披裂軟骨内転術を施行する際は、反回神経内転筋枝を可能な限り確認保存し、輪状披裂関節、後筋をなるべく傷つけないようにすべきと考えられた。
  • 津田 祥夫, 梅野 博仁, 三保木 隆夫, 中島 格
    2007 年 53 巻 5 号 p. 263-267
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    声帯粘膜固有層浅層内の微小血管拡張病変は、音声酷使に伴う慢性的な物理的外傷により生じるとされており、その病変自体が声帯運動を障害し、出血性ポリープの原因となることがあり、治療は鉗子による鉗除やCO2レーザーによる蒸散が行われてきた。しかし CO2レーザーはその熱損傷の影響から、瘢痕形成を来し声帯振動を減弱させるため、鉗除が勧められてきた。KTPレーザーは、ヘモグロビンに吸収されるという特徴を持つことから、声帯粘膜血管拡張性病変に対してKTPレーザーを使用し、音声機能を損なわず、治療可能であった報告が本邦でなされている。今回われわれは声帯粘膜血管拡張性病変に対してKTPレーザーを用いた症例を5例経験した。いずれも音声機能を損なわず改善が認められたので報告する。
  • 平野 滋, 山下 勝, 大野 恒久, 北村 守正
    2007 年 53 巻 5 号 p. 268-271
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ラリンゴマイクロサージャリーにおいては術中の出血のコントロールが重要であり、特にmicroflapを用いる場合には出血の予防が望まれる。今回、出血の予防としてエピネフリンの上皮下注射とKTPレーザーによる光凝固を用い、その有用性につき検討した。対象は47例で、エピネフリン注射を行ったものが27例、KTPレーザーを用いたものが33例、両者を併用したものが13例であったoその結果、これら47例のうち、43例においては良好な術中出血の予防効果が得られた。充血の高度なラインケ浮腫の3例と易出血性ポリープ1例の計4例においては術中のoozingがなお続いたものの、手術操作に大きな支障はなかった。
  • 喉頭内腔手術治療後の経過
    岩田 義弘, 長島 圭士郎, 服部 忠夫, 吉岡 哲志, 堀部 晴司, 岡田 達佳, 寺島 万成, 清水 雅子, 木原 彩子, 櫻井 一生, ...
    2007 年 53 巻 5 号 p. 272-278
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    われわれは、海水浴中にサーフボードが頸部を打撃したことによる、9歳女児の喉頭の外傷の一例の治療を経験した。初診時、彼女の声帯は声帯の裂傷が原因で左右とも中央で癒着し横隔膜症を来していた。われわれは、直達喉頭鏡を用い声帯の癒着を切離し、声帯の辺縁を縫合してraw surfaceを被覆することにより、低侵襲手術でありながら声帯の再癒着を防ぎ得た。術後から運動に伴う呼吸障害は改善し、嗄声も軽減、十分な大きさの音声を獲得できた。
  • 西尾 健志, 馬場 均, 杉山 庸一郎, 板東 秀樹, 廣田 隆一, 久 育男
    2007 年 53 巻 5 号 p. 279-283
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    endo-extralaryngeal needle carrier (以下EENC) を用いてEjnell法を行い、刺入針が破損した症例を経験したo症例は35歳、男性。甲状腺全摘術後に生じた両側声帯麻痺に対し、EENCを用いてEjnell法による声帯外方移動術を施行した。術後、声門の再狭窄を生じたため同法による再手術を行った際、甲状軟骨に高度の硬化がみられ、EENC使用時に刺入針が破損した。Ejnell原法によるアプローチに変更することで予定どおり声門開大を得られた。今回の経験で、 (1) EENCでの針刺入時、抵抗が大きい場合は無理な操作の続行は避ける、 (2) Ejnell法による同側の再手術には注意を要する、 (3) EENCを使用する際も、術者はEjnell原法には習熟しておくべきである、と再認識した。
  • 原 浩貴, 宮内 裕爾, 田村 光司, 中本 哲也, 山下 裕司
    2007 年 53 巻 5 号 p. 284-288
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    当科で行っているEjnell法の工夫について報告した。1. 甲状軟骨上の針の刺入点と角度の設定については、諸家の報告のように外側からの計測を行うとともに、喉頭内腔からの硬性内視鏡または電子スコープの光を指標にすると針の刺入は比較的容易であった。2. 頸部から刺入後の糸の処理については、喉頭内腔からの視野の確保のために硬性内視鏡の使用が有用であった。硬性内視鏡は、喉頭用に限らず、一般に普及している鼻副鼻腔手術用でも十分な視野が得られ有用であった。また、甲状軟骨の骨化が強い場合などには、18Gの静脈留置針を利用すると糸の処理が容易であった。
  • 本吉 和美, 兵頭 政光, 田口 亜紀
    2007 年 53 巻 5 号 p. 289-294
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Ejnell法による声帯外方移動術を施行した両側声帯麻痺の10例を対象に、呼吸機能と音声機能の観点から手術効果を検討した。5例はEjnell手術施行前に気管切開を受けていた。6例はEjnellが報告した従来法により、4例はendo-extralaryngeal needle carrier (EENC) を用いて手術を行った。両群とも全例で術後に呼吸困難は改善し、気管切開を受けていた5例は気管切開口を閉鎖できた。呼吸機能検査では1秒率および最大呼気流量率の改善が確認できた。また、それらの改善は長期間の経過観察中も保たれていた。一方、術後の音声機能低下は軽度で、全例において社会生活上の支障はなかった。音声機能は声帯がやや内側化するのに伴い、徐々に改善した。声帯に牽引糸をかける手技の違いでは、従来法群に比べてEENC群が術後の音声機能が悪い傾向にあった。これは、EENC群では声帯がやや下方へ牽引されることによるものと思われた。
  • 安達 一雄, 梅崎 俊郎, 松原 尚子, 清原 英之, 小宗 静男
    2007 年 53 巻 5 号 p. 295-300
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    陳旧性喉頭外傷に治療は非常に困難であり、治療に難渋することも多い。今回われわれは陳旧性の喉頭外傷に伴う一側声帯瘢痕固着症例に対し、喉頭垂直部分切除術の術式を工夫した方法で音声を改善することができた。本術式は喉頭截開にて瘢痕を取り除き、頸部皮弁および前頸筋による筋皮弁にて声門再建を行うものである。これにより最長発声持続時間は延長し、楽な発声が可能となった。
  • 2007 年 53 巻 5 号 p. 301-306
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
  • 久保 和彦, 賀数 康弘
    2007 年 53 巻 5 号 p. 307-309
    発行日: 2007/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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