抄録
頸部郭清術は以前は根本的頸部郭清術が施行されていたが、術後の肩運動や嚥下機能などの機能障害が問題となり、最近は機能的頸部郭清が主に施行されている。頭頸部癌の外科的治療は原発巣と頸部郭清術を同時に施行するのが原則であるが、頸部郭清術のみを施行するのは原発不明頸部リンパ節転移症や放射線化学療法後の頸部リンパ節の残存例である。2003年より2006年の間に頸部郭清術後嚥下障害が出現し、術後嚥下練習にもかかわらず経口摂取不能で嚥下機能改善手術を要した11症例について検討した。これらの症例は頭蓋底浸潤例で下位脳神経のIX、X、XIIの切除または温存したにもかかわらず術後麻痺の出現した症例であった。結論: 頸部郭清術後嚥下障害が出現したのは下位脳神経のIX、X、 XIIの麻痺を伴う頭蓋底郭清例と上縦隔郭清例であった。このような手術後は誤嚥の可能性が高く、嚥下機能改善手術を同時に施行した方が術後の治療に速やかに移行できると考えられた。