抄録
急性散在性脳脊髄炎 (ADEM: acute disseminated encephalomyelitis) は、感染症やワクチン接種後に発症し単相性の経過をとる脱髄性疾患で、多彩な神経症状を呈する。今回、脳幹部ADEMにより嚥下障害を来した症例を経験した。症例は32歳、男性。感冒罹患数日後にADEMを発症、挿管管理下に4病日目よりステロイドパルス療法を3クール施行した。症状は徐々に改善し、16病日目に抜管した。喉頭挙上不全と著明な咽頭貯留を認め、嚥下訓練を開始した。治療方針の検討のために、主に嚥下内視鏡検査 (VE) を活用した。約1カ月半後に嚥下機能は改善し常食摂取可能になった。本例において、嚥下状態の経過観察や方針決定のためにVEが有用であった。また、早期からの嚥下訓練の有効性が示唆された。