抄録
加齢による嚥下機能低下に対する治療あるいは予防法として、カプサイシンの効果を多角的に検討した。健常高齢ボランティア63名に対して行った嚥下造影検査もしくは嚥下内視鏡検査により、嚥下機能の低下が認められた10名を対象とした。性別は男性4名、女性 6名、年齢は64-78歳 (平均70.0歳) であった。これらの被験者にカプサイシントローチ (1.5μg/錠、2錠/日) を1カ月間継続投与した後、再度、嚥下機能検査を行って投与前と比較検討した。その結果、自己記入式問診票および嚥下内視鏡検査では嚥下機能全般の改善が得られ、嚥下造影検査では喉頭挙上遅延時間には有意な変化を認めなかったものの咽頭通過時間が有意に短縮した。以上より、加齢による嚥下機能低下に対する治療法の一つとして、カプサイシントローチの有用性が示唆された。