抄録
誤嚥防止術には、喉頭全摘術や喉頭閉鎖術、喉頭気管分離術などがあるが、これらの対象患者は全身状態が不良のため、より低侵襲で確実な手術術式が望まれる。われわれが考案した声門閉鎖術の方法は、甲状軟骨板を切除し、喉頭截開により喉頭内腔を開いた後、仮声帯の高さで喉頭蓋基部から披裂間部まで喉頭粘膜を切除する。喉頭蓋基部と披裂間部を前後方向に縫合し、仮声帯レベルで喉頭が前後方向につぶれるように閉鎖する。喉頭截開部を前頸筋とともに縫合閉鎖する。症例は66歳、男性で、胃摘出術と脳幹梗塞後に胆汁逆流による難治性誤嚥を来した。誤嚥防止術の目的で当院へ転院したが、逆流物の誤嚥のため術前の全身状態は悪化し、重篤な呼吸不全に陥った。全身麻酔が困難なため、局所麻酔下にわれわれが考案した声門上閉鎖術を行った。術後、合併症もなく全身状態は改善し、リハビリ施設へ転院した。この術式は、難治性または進行性の基礎疾患のため再建手術を行う可能性のない患者には有用である。