2007 年 110 巻 6 号 p. 466-469
症例は63歳男性. 咽頭痛を主訴に来院し, 精査により下咽頭癌T4aN2bM0 Stage IVAと診断したが, 本人の強い希望にて放射線併用化学療法の施行となった.
治療後, 腫瘍は画像および喉頭ファイバー所見上消失し, CRと判断した. しかし, 下腿浮腫・全身倦怠感が出現し, 心電図上に心房細動を認めた. 心臓エコー・心筋生検等の精査の結果, 下咽頭癌の心臓転移と診断された. 頭頸部領域悪性腫瘍の心臓転移は極めてまれであり, さらに生前に確定診断がついた例も非常にまれである. そこで若干の文献的考察を加えて報告する.