日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
副鼻腔嚢胞手術症例の臨床検討
都築 建三深澤 啓二郎竹林 宏記岡 秀樹阪上 雅史
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2009 年 112 巻 12 号 p. 801-808

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抄録
当科における過去13年間 (1995~2007年度) に, 入院して手術を行った鼻・副鼻腔手術1920例のうち, 原発性および術後性副鼻腔嚢胞218例 (11.4%), 男性125例, 女性93例, 平均年齢57.5歳 (17~85歳) の臨床的特徴を検討した. 副鼻腔嚢胞の診断は, 問診, 術前の画像所見と術中所見に基づいた.
対象218例における嚢胞の成因は, 原発性45例 (20.6%), 術後性173例 (79.4%) であった. 受診経路に関して, 最初の受診科は, 原発性は眼科 (46.7%, 21/45例), 術後性は耳鼻咽喉科 (67.6%, 117/173例) が最多であった. 嚢胞の発生部位は, 原発性は前篩骨洞 (42.2%, 19/45例), 術後性は上顎洞 (71.7%, 124/173例) が最多であった. 症状は, 原発性は眼症状 (53.3%, 24/45例), 術後性は頬部症状 (53.8%, 93/173例) が最多であった. 術式は鼻内法 (内視鏡下副鼻腔手術, ESS) が第一選択で, 必要に応じて鼻外法 (10.6%, 23/218例) が行われた. 再発 (嚢胞の再閉塞) は平均2.1年 (6カ月~6年4カ月) 経過して2.3% (5/218例) に認め, 再手術を行い現在も嚢胞は開存している.
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© 2009 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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