Balloon sinuplastyは, 特殊なバルーンカテーテルを用いて副鼻腔自然口を低侵襲に開大する新しい治療法で, 2005年に米国で開始され2008年9月までに全世界で約43,000例に施行されている. 最近その長期成績が報告され内視鏡による評価では, 1年後の洞全体の開存率85% (172/202例), またLund-MacKay CTスコアーでは, 1年目で術前後の差が4.83 (23例), 2年目で3.92 (12例) と改善がみられている. 再手術が必要となった割合は, 1年目で5.7% (4/70例), 2年目で9.7% (6/62例), またSNOT-20による副鼻腔症状およびQOLスコアーの変化では, 1年目でその差が1.02 (28例), 2年目で0.92 (32例) と0.8以上を示し臨床的に有意とみなされる. 副鼻腔手術のコンセプトは, 自然口の閉塞を改善することにあり, これまでの手術では病変組織を鉗除する侵襲的なものであったが, 本手技はその閉塞部位をバルーンカテーテルを用いて開大するだけで, 簡便に行え, 手術法と同等の効果が期待できること, また短時間で行え患者への負担も少なく外来治療も可能である.
Short endoscope (Semi-rigid型, ENF-Y0002) は, 従来の直視型硬性内視鏡とフレキシブルな軟性内視鏡の両方の機能を兼ね備えた電子内視鏡で, Olympus社と共同で開発した. 規格は有効長150mm, 外径3.2mmで, 尖端部のみが上下90度屈曲する. この内視鏡のコンセプトは, 耳, 鼻, 咽・喉頭を1本で観察できることと, 先端部を固定することで観察下での鉗子操作も可能である. また最近注目されているNBIにも対応可能である. 主として外来診療で用いられるが, 内視鏡下鼻副鼻腔手術で斜視鏡に持ちかえることなく手術も可能である.
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