2009 年 112 巻 9 号 p. 648-655
今回われわれは, 放射線防護作用を持つとされているアルカロイド製剤, Cepharanthinの頭頸部癌における放射線性唾液腺障害と味覚障害に対する効果を定量的に評価した. 化学放射線療法を施行する頭頸部悪性腫瘍患者40名からCepharanthin投与群と対照群を無作為に抽出し, その効果を比較検討した. Cepharanthin投与群22例と対照群18例を比較すると, 化学放射線治療前後の唾液分泌量において有意な効果は認めなかったが, Cepharanthin投与により安静時唾液分泌量の減少が抑制される傾向を認めた. また味覚障害 (甘味・塩味) および口腔内不快感の軽減においてCepharanthinの有効性が認められた. Cepharanthinは頭頸部癌患者の化学放射線療法に伴うQOL低下の軽減に有効な薬剤である可能性がある.