日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
上顎洞性後鼻孔ポリープの臨床的検討
浅香 大也吉川 衛中山 次久吉田 拓人吉村 剛飯村 慈朗大櫛 哲史松脇 由典飯田 誠柳 清鴻 信義森山 寛
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2012 年 115 巻 2 号 p. 101-107

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抄録

上顎洞性後鼻孔ポリープは上顎洞粘膜の慢性炎症を成因とし, 自然口または副口を介して後鼻孔まで伸展したポリープである. 今回われわれは上顎洞性後鼻孔ポリープの臨床的特徴を検討して報告する. 対象期間は2007年4月から2008年3月まで, 東京慈恵会医科大学およびその関連施設計5施設において内視鏡下鼻内手術を施行した慢性副鼻腔炎患者728例のうち, 上顎洞性後鼻孔ポリープと診断された症例15例 (2.1%) を対象として自覚症状, ポリープの基部, 再発率を検討した. 自覚症状としては鼻閉が最も多く, 鼻汁, 後鼻漏が次いで多かった. ポリープ基部は上顎洞底部から後壁が6例と最も多く, 上顎洞底部が4例であった. ポリープの再発を認めた症例は2例であり, いずれも上顎洞底部に存在するポリープの基部が前方に及んでいる症例であった. 術中にポリープの基部を注意深く観察して可能な限り摘出し, 適切な術後治療を行えば再発の制御が可能と考えられた.

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© 2012 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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