日本耳鼻咽喉科学会会報
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総説
インフルエンザウイルスの薬剤耐性
齋藤 玲子
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2012 年 115 巻 7 号 p. 663-670

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抄録

インフルエンザは冬期に流行する急性ウイルス性疾患である. 日本では5種類の薬剤が使用可能である. M2阻害剤のアマンタジンはA型インフルエンザのみに効果を示し, 耐性が出現しやすいことで知られる. ノイラミニダーゼ阻害剤はA型, B型インフルエンザに有効である. 本邦ではオセルタミビル, ザナミビル, ペラミビル, ラニナミビルの4剤が使用可能である. ペラミビル, ラニナミビルは新規薬剤でほぼ日本のみで使われている. 数年前にオセルタミビル耐性A/H1N1 (季節性) が流行したが, 新型インフルエンザA/H1N1 pdm09の出現により駆逐され, 現在インフルエンザはNA阻害剤の4剤すべてに感受性である. 一般的に耐性インフルエンザ株が検出されても, 健常人であればそれ自体で重症化したり経過が遷延するものではなく, 通常のインフルエンザと同様に治癒していく.
本稿では, 日本で使用される抗インフルエンザ剤の種類と特徴, 薬剤耐性の機序について述べる.

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© 2012 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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