日本耳鼻咽喉科学会会報
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総説
ナノバイオテクノロジーを応用した医療イノベーション
松本 有山岨 達也片岡 一則
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2013 年 116 巻 3 号 p. 133-139

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抄録

ナノテクノロジーの医療応用の一つとして, ドラッグデリバリーシステム (Drug Delivery System: DDS) が大きな注目を集めている. われわれが開発している高分子ミセル型DDSは, 性質の異なる高分子鎖が連結されたブロック共重合体の自己組織化によって形成される粒径数十nmのナノ粒子であり, ちょうど天然のウイルスの大きさに匹敵する. 外殻はポリエチレングリコール (PEG) という生体適合性の高い親水性高分子で構成されており, 内核に抗癌剤をはじめさまざまな薬剤や核酸医薬を内包することができる. 本稿では「ナノバイオテクノロジーを応用した医療イノベーション」として, 既に臨床治験が進んでいる高分子ミセルについて解説するとともに, さらに高機能化を目指した次世代型DDS開発についても紹介する. また, 高分子ミセルに賦与したさまざまな機能を生体内で直接評価・証明し, DDS開発を加速する研究ツールとして新たに開発した生体内リアルタイム共焦点顕微鏡についても紹介する.

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© 2013 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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