年長児の喘息は, 典型的な発作症状である呼気性喘鳴を伴う呼吸困難を繰り返していれば, 診断は難しくない. 一方, 乳児期においては, ウイルスによる下気道感染により喘息と同様の喘鳴を認めることがあり, 喘息の診断は必ずしも容易でない. しかし, 乳幼児期の発症早期より適切な治療・管理を行うことが, 治療目標の達成に重要と考えられることから, 乳児喘息は症状を広く捉えて診断する.
治療開始後の治療ステップの選択は, コントロール状態の評価を基に進める. 長期管理の薬物療法は, 吸入ステロイド薬による抗炎症療法が基本であるが, ロイコトリエン受容体拮抗薬, テオフィリン徐放製剤も用いられる. 3カ月以上コントロール状態が良好であれば, 治療内容のステップダウンを考えるが, 症状のみではなくピークフロー値, FEV1.0, β2 刺激薬吸入に対する反応性なども確認する. 乳幼児期に発症した喘鳴疾患は, ウイルス感染による呼吸器症状など多様な病態を含むことから, 喘息のオーバートリートメントにならないように注意する.
急性増悪 (発作) は, 発作強度に基づき β2 刺激薬などを中心とした気管支拡張薬による治療を行う. 呼吸困難レベルによっては酸素の吸入を同時に行い, 脱水症状を認めることも多いので, 輸液による補正を行う. 経過により, ステロイド静注, イソプロテレノール持続吸入療法などを併用し, また年長児であればアミノフィリン持続点滴療法も用いる.
喘息治療は薬物療法のみではなく, 悪化因子対策, 患者と家族への教育, 心理社会的要因への対策, 学校での対応など, 患者固有の要因についての確認と指導も重要である.