日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
口蓋扁桃摘出術を施行した Periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and cervical adenitis syndrome の検討
原 真理子吉浜 圭祐小森 学藤井 可絵守本 倫子
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2017 年 120 巻 3 号 p. 209-216

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抄録

 PFAPA 症候群 (Periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis, and cervical adenitis syndrome) は, 小児における周期性発熱疾患であり, 3大随伴症状としてアフタ性口内炎, 咽頭炎/扁桃炎, 頸部リンパ節炎を伴う特徴がある. 自己炎症性疾患の一つであるが, 詳しい病因・病態は解明されておらず, 疾患に対する認知もいまだ十分とは言えない. 現在行われている治療法の中で, 最も有効とされているのは, 口蓋扁桃摘出術である. 当科でも, 薬物療法で症状の寛解が得られなかった PFAPA 症候群に対して, 手術を施行している. 今回われわれは, PFAPA 症候群の手術施行例における臨床的特徴や治療効果, 術後経過に関して検討を行った. 対象は全19症例であった. 手術の効果は, 症状寛解79% (15/19例), 症状軽減16% (3/19例), 無効5% (1/19例) であり, 有効率は95% (18/19例) と高い効果が認められた. しかし, 症状が軽減した症例も含め, 19例中4例は術後も発熱発作が認められた. 無効例では, 術前と同様の症状が継続していた. 術後も発熱発作を認めた症例では, 家族歴を持つ症例が多い傾向があり, 治療効果には遺伝的素因が関与している可能性が推測された. 口蓋扁桃摘出術は有効率が高く, 薬物療法よりもすぐに寛解が得られる場合も多い. しかし, まったく効果の得られない症例もいる. 手術に関して現在適応基準などはなく, どのような症例に手術が有効であり無効であるのか, 今後も検討をしていく必要があると考えられた.

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© 2017 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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