日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
救急救命科に搬送された急性期めまい224例の検討初期研修医への質問紙調査
浦口 健介小桜 謙一前田 幸英太田 剛史土井 彰假谷 伸
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2021 年 124 巻 7 号 p. 1005-1012

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抄録

 めまいは救急受診の原因で頻度の高い主訴であるが, めまいの中には致死的な疾患や重篤な後遺症を残す疾患が存在し初期対応には注意を要する. 今回, 当院で救急救命科へ搬送され入院した急性期めまい症例について検討した. また, その集計結果を用いて初期研修医に急性期めまい診療についてのフィードバックを行い, 急性期めまい診療について質問紙調査を行った. 救急搬送された急性期めまい症例224例を対象とした. 入院症例については患者背景・随伴症状・診断名について検討した. これらの集計結果を初期研修医に提示するとともに, 初期研修医への急性期めまい診療講義を行い, その前後に質問紙調査を行った. めまい搬送症例は224例であり, 93例 (41.5%) が入院を要した. 入院症例のうち末梢性めまいが38例, 中枢性めまいが29例, 15例がそのほかの全身疾患, 原因不明が11例だった. 中枢性めまいのうち脳血管障害は18例あり, 15例が椎骨脳底動脈系血管障害 (小脳梗塞8例, 脳幹梗塞4例, 小脳出血3例) であった. 42人の初期研修医への質問紙調査では, 急性期めまい診療に興味はあるが十分な理解ができていないことが示された. めまい診療においては鑑別疾患や診断方法などが重要と考え, 本検討内容を救急救命医や初期研修医へフィードバックをすることで, 今後の急性期めまい診療についての情報共有を行うことができた.

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