1997 年 100 巻 3 号 p. 307-315
高気圧負荷をかけ内耳気圧外傷の発生したモルモットを使用し, 負荷後7~11日目のCAP, CM所見とSEM標本とを比較検討した. その結果, 得られたCAP域値より高度障害群と軽度障害群に分かれた. CAPの高度障害群ではSEMにおいて聴毛の高度障害を認めたが, 軽度障害群では正常所見であるにもかかわらずCAP域値の上昇しているものがあった. つまり, SEMにより形態的に聴毛は正常であっても, 完全な聴力回復が得られていない可能性がある. また, 一部の例のCAPとCMの域値には, 高音部に30dB以上の解離を認めた. この理由として, 高度障害時の受傷様式の多様性を考察した.