日本耳鼻咽喉科学会会報
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Off Vertical Axis Rotationによる眼球運動の三次元解析
嘉村 恵理子八木 聰明
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1999 年 102 巻 1 号 p. 42-49

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抄録

OVARは重力を利用した耳石器刺激法である. OVARにより誘発される眼球運動の報告は数多く見られるが, いずれも水平, 垂直2成分を解析したものである. OVARによる耳石器-眼運動には回旋眼球運動が存在し, 耳石器機能を知るためにはその解析が必須であると考えられるが, 定量的な評価方法がなく余り検討がされていない. 今回, 我々はコンピュータ画像解析装置を用いて, この眼球運動を三次元解析し水平, 垂直, 回旋の3成分での検討を行った.
その結果, 3成分で回転に伴う周期的な変調成分を認めた. 水平成分は右下頭位で, 垂直成分は鼻下頭位でそれぞれの最大値を示し, 回旋成分はこの2つの成分の中間で最大値を示した. 変調成分は3成分のうち回旋成分が最大だった.
頭位の変化と眼球運動の振幅の関係から, OVARによる眼球運動の水平成分は卵形嚢の, 垂直成分は球形嚢の刺激により生じたものと考えられた. また回旋成分は卵形嚢への刺激により生じたものと推測されるが, 水平成分とは異なった位相での動きをすることが分かった.
バイアス成分は従来の報告と同様, 水平成分で回転と反対側に認めたが, 他の2成分については明らかではなかった.

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