日本耳鼻咽喉科学会会報
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アレルギー性鼻炎患者末梢単核球のダニ抗原特異的刺激によるIL-4, IL-5, IFN-γ産生について
石井 歓朝倉 光司形浦 昭克
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1999 年 102 巻 1 号 p. 66-72

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抄録

アレルギー性鼻炎の病態におけるサイトカインの関与について検討する目的で, ダニアレルギー患者, 非ダニアレルギー患者および正常人を対象としてダニ抗原刺激による末梢単核球の増殖反応の測定および末梢単核球から産生されるサイトカインの定量を行った.
末梢単核球のPHA刺激後の増殖反応はダニアレルギー群, 非ダニアレルギー群および正常群の間で有意な差は認めなかったが, ダニ抗原刺激の際の増殖反応はダニアレルギー群が正常群に比して有意に高値を示した.
末梢単核球から産生されるサイトカインはIL-4およびIL-5はともにダニアレルギー群ではダニ抗原刺激により有意に産生増加を認めたが, 非アレルギー群や正常群は変化を認めなかった. IFN-γの産生はダニ抗原刺激時にはダニアレルギー群, 正常群ともに有意な産生増加を認め, ダニ抗原刺激時の産生量は両群で差を認めなかった. IFN-γとIL-4の比 (IFN-γ/IL-4) を比較検討したところ, ダニ抗原刺激時にはアレルギー群に比して正常群が有意に高値を示した.
以上よりダニアレルギー患者の末梢単核球は抗原暴露後にTh2優位のサイトカイン産生パターンを示すことが明らかとなった.

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