日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
前庭眼反射における平衡機能の加齢変化
江澤 進
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 102 巻 1 号 p. 73-82

詳細
抄録

(目的) 平衡機能の加齢変化を, 振子様回転刺激により生ずる前庭眼反射の利得, 位相を指標として検討した.
(対象および方法) 健常者, 一側末梢前庭機能障害者を対象として20歳以上40歳未満の若年群, 40歳以上65歳未満の中年群, 65歳以上の高年群に分け, 正弦波振子様回転刺激 (振幅30°周波数0.25Hz, 振幅60°周波数0.1Hz) による前庭眼反射の利得, 位相およびVS値について比較検討した.
(結果) 利得においては年齢が上がるにつれ有意に減少し, 位相においては年齢が上がるにつれ位相のずれが有意に増大する傾向が認められた. しかし, 前庭眼反射のVS値については, 年齢による差を認めなかった.
健常者と一側末梢前庭機能障害者の間は, 健常者と一側末梢前庭機能障害者の健側には有意差はないものの, 利得と位相において健常者と一側末梢前庭機能障害者の患側との間に有意差を認めた. VS値においては健側・患側ともに有意差は認めなかった.
(結論) めまい疾患における平衡機能検査においては, 加齢による生理的変化を念頭において, 十分検討する必要がある.

著者関連情報
© 日本耳鼻咽喉科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top