日本耳鼻咽喉科学会会報
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猫上オリーブ核ネウロンの音刺激反応について
椎名 睦郎
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1970 年 73 巻 8 号 p. 1283-1292

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抄録

蝸牛神経核にみられるような側方抑制の機序が上オリーブ核にも存在するかどうかを明らかにするため本実験を行った.
猫を用いて上オリーブ核ネウロン113ユニットの反対側耳音刺激に対する反応を詳細に観察し, 次の如き結果を得た.
1) 応答野は蝸牛神経核のものに類似している. また特徴振動数が互いに近い応答野はその形状も似ており, 特徴振動数が高いものほど閾値上20dbにおける応答帯域のオクターブ数は小さい.
2) 上オリーブ核ネウロンの反応様式はゆつくりとした順応を示す連続型が大部分であるが, 応答野周辺近くでは反応型が変わる場合が多い.
3) 特徴振動数より高い周波数の音刺激で自発放電の抑制されたものが3ユニット認められた. この抑制野は高音側の応答野外側に相当した.
4) 特徴振動数より低い音刺激で自発放電の抑制されるユニットは全く認められないが, 特徴振動数の連続音刺激で誘発された放電は, より低音の閾値附近の刺激で抑制された.
以上から, 上オリーブ核においては少なくとも低音側に側方抑制の機構は存在しないと想定された.

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