日本耳鼻咽喉科学会会報
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滲出性中耳炎の骨導聴力
佐藤 宏昭高橋 晴雄林 正彦本庄 巖
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1987 年 90 巻 4 号 p. 583-589

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抄録

滲出性中耳炎90例102耳に鼓膜切開•貯留液除去の前後に骨導聴力検査を行い,以下の知見を得た.
1) 鼓膜切開,貯留液除去により500Hzで22.5%,2000Hzで11.8%の骨導聴力の改善が認められ,500Hzの骨導聴力の改善は粘液性貯留液で多くみられた.
2) 中耳陰圧は低音部の骨導聴力悪化を来し,滲出性中耳炎における低音部骨導聴力悪化と一致した.
3) 漿液性貯留液では500Hzに骨導聴力の改善する例,粘液性貯留液では逆に悪化する例が多くみられ,低音部の骨導聴力は貯留液の粘性により異なると考えられた.
4) 2000Hzの骨導聴力悪化は中耳貯留液によると考えられた.

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