1995 年 98 巻 5 号 p. 832-842,929
過去24年間に当科で経験した小児のdip型聴力障害60例81耳を臨床的に検討し, さらに成人例139例165耳と比較しながら, 特にその成因について考察した.
小児のdip型聴力障害は男児に多く認められ, 原因では音響外傷などの外因を有する例も有しない例もあった. 対象例の両親の聴力は特にその父親に聴力障害を多く認め, 聴力型は約半数がdip型であった. また, 成人例と比較すると本質的には両者とも同様の結果であり, 明らかな差異はなかった.
dip型聴力障害の発生には共に男性に多く, 何らかの遺伝子要素が関与しているのではないかと推察した.