日本耳鼻咽喉科学会会報
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98 巻, 5 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 石垣 元章, 池田 勝久, 須納瀬 弘, 鈴木 雅明, 高坂 知節
    1995 年 98 巻 5 号 p. 761-769,925
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    我々は, モルモット鼻腺腺房細胞の細胞内Ca2+応答を検討した. モルモットの鼻中隔の粘膜下層に存在する鼻腺細胞を選択的に単離した. 単離した鼻腺細胞にCa2+蛍光指示薬fura 2/AMを負荷し, 蛍光画像解析法で, 細胞内Ca2+濃度を測定した. アセチルコリンの刺激に対して, 鼻腺細胞内Ca2+濃度は二相性の上昇を示し, 濃度依存性であった. 細胞内Ca2+濃度の上昇はアトロピンで阻害を受け, Ni2+により阻害された. 初めの急峻相は細胞内Ca2+貯蔵庫からの動員で, 引き続く維持相は細胞外からの流入と考えられた. Ca2+流入機構は科学的電位勾配, 電気的電位勾配そして細胞外液のpHの影響を受けることがわかった.
  • 健常者における型分類と性別, 年齢別検討
    新井 基洋
    1995 年 98 巻 5 号 p. 770-780,925
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    健常者のOKANについて男女差, 左右差, 年齢変化について検討した. 対象は年齢20~78歳までの男女147名, 294側とした. 検査方法はJung型視運動性眼振誘発装置で, 全症例に回転方法が60°/秒, 45秒間の等速度刺激を用い, 暗所開眼でOKANを3分間記録した. 健常人のOKAN-I相は低反応より過大反応まで広く分布し, 一様ではないため, OKAN-I相で6型9種に分類した. 左右差は全例の61.2%に認められ, 性別, 年齢別にみて, 型分類の頻度に特徴はなかった. OKAN-II相は9例に認められたがIII相は観察されなかった.
  • 石山 浩一
    1995 年 98 巻 5 号 p. 781-788,925
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    鳩類の耳石器には, 卵形嚢, 球形嚢と耳石壼嚢が存在するが, 耳石壼嚢については, その微細構造についてはいまだ不明点が多い. そこで著者は, これらの点を明確化するため, 本研究を計画した. その結果, 各平衡壼の立体位置関係は, 耳石壼嚢は卵形嚢に対し平均31° (n=3), 球形嚢に対し平均45° (n=3) であった. 耳石壼嚢の分水嶺はC字型を呈し, 動毛の極在は分水嶺を中心に相互に外側に向かう球形嚢のそれと同一の極在を示した. 耳石壼嚢の耳石膜は, 他の平衡斑同様にメッシュ状を示しその耳石層は分水嶺上で特に薄くなっていることが確認された. 耳石壺嚢の表面積は平均0.98mm2 (n=3) で感覚細胞数は16.800個 (n=3) であった.
  • 暁 清文, 佐々木 康, 柳原 尚明
    1995 年 98 巻 5 号 p. 789-794,925
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    錐体部真珠腫は現在においても治療の困難な疾患の一つである. 当科で治療を行った14症例の経験から本症の手術治療上の問題点について検討を行った.
    耳漏を伴う場合は感染を根絶してから頭蓋底の真珠腫を除去すべきで, 手術を段階的に行うことで対処した. 5例では真珠腫の完全摘出が困難なため削開腔は開放のままとしたが, 9例では創腔を脂肪ないし筋肉弁で充填した. 顔面神経麻痺の治療は減荷術が主であったが, 予後は必ずしも良好でなく, 吊り上げ術などの形成手術の併用を要する症例が多かった. 本症例ではCTやMRIを用いた術後の経過観察が重要で, 3例が再発し再手術を要した.
  • 吉田 知之, 佐伯 哲郎, 大橋 伸也, 奥平 唯雄, 李 雅次, 吉田 ひかり, 丸岡 秀裕, 伊藤 博之, 舩坂 宗太郎, 加藤 治文
    1995 年 98 巻 5 号 p. 795-804,927
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    Photodynamic Therapy (以下PDT) は癌の選択的治療法として注目されている. 我々はHpDにアルゴン・ダイ・レーザーとエキシマ・ダイ・レーザーを用いたPDTを咽頭癌に対し臨床応用している. そこで, 12例の臨床経過を示すとともに, その有用性と安全性ならびに遠隔成績に言及し, 特に治療手技に改良を加えファイバー下に容易に行えるPDT治療について報告した. PDTによるCR率83.3%, PDT単独での効果持続期間は, 最長65ヵ月であり, 一次治療例では全例喉頭保存が可能であった. また, PDTの副作用はいずれの症例にも認められず, 重篤な合併症のあるものや, 高齢者などにも安全に治療ができ, 早期喉頭癌の有力な治療法と成り得るものと考えた.
  • 後藤 了, 池田 勝久, 安達 美佳, 丹野 哲子, 高坂 知節
    1995 年 98 巻 5 号 p. 805-812,927
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    1986年1月から1994年6月までに東北大学耳鼻咽喉科にて治療を受けた食道異物症170例のうち, PTP異物症は29例であった. 食道異物症総数に対するPTP異物の割合は, 明らかな増加を示していた. 介在部位は第I, 第II, 第III狭窄部の順に多かった. 検査法としては軟性食道内視鏡, X線撮影法, 食道造影法が有用であった. 慢性疾患に基づく内服薬常用者に多い傾向があった. 錠剤封入PTPのX線では, 薬剤周囲の空気による濃淡が描出され, 側面像においてはPTPの台紙が確認可能であった. PTPの辺縁による擦傷実験では, 粘膜上皮層と一部粘膜下層に及ぶ損傷が認められた. 食道穿孔のような重篤な合併症の発生には, 感染や食道鏡などの付随因子が関与していることが推察された.
  • 実験的研究
    加瀬 康弘, 中嶋 正人, 阿部 和也, 田中 利善
    1995 年 98 巻 5 号 p. 813-819,927
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    鼻腔内腫瘤症例におけるAcoustic rhinometry (ARと略) の精度とAR測定結果の解釈上の問題点について検討した. 単純な管状のモデル内に種々の容積をもつ球形の粘土を置いて測定した結果, ARで計測された粘土容積と実際の粘土容積には高い相関 (r=0.996) を認めた. AR測定曲線上にみる断面積減少のピークは実際に粘土の置かれた部位よりも後方となり, またピークの後方部分はすべてにわたりAR測定値は減少し, これは粘土容積が大きい程著明であった. 鼻腔鋳型モデル内の種々の部位に容積0.3cm3の錠剤を置いた実験でもAR測定曲線上, 錠剤より後方の断面積・容積は減少し, 錠剤が鼻腔入口部に近いほど鼻腔容積測定値に大きな影響を及ぼすことが判明した.
  • 中耳圧変化速度の影響
    鈴木 幹男, 北野 博也, 矢沢 代四郎, 北嶋 和智
    1995 年 98 巻 5 号 p. 820-824,927
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    Alternobaric Vertigo発症に中耳圧変化速度が関与していることを調べるため, 中耳圧変化モデル動物 (モルモット) を用いて実験を行い, 以下の結果を得た.
    1. 大きな中耳圧変化速度 (±100mmH2O/sec) 下では小さい圧変化速度 (±50mmH2O/sec) 下より反応率, 放電変化率が高かった.
    2. 大きい中耳圧変化速度下では前庭神経放電の変化がより早く生じた.
  • イヤホン (NC-3) の試作
    西田 裕明, 角田 篤信, 野口 佳裕, 小松崎 篤, 横山 和則, 小川 幸則
    1995 年 98 巻 5 号 p. 825-831,929
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    CM記録用のイヤホン (NC-3) を試作した. 本イヤホンには補聴器用内装イヤホンを用い本体をアルミホイルでシールドした. またイヤホンの音孔部に内径1.5mm, 長さ175mmのシリコンチュープを取り付けその先端が外耳道に挿入できるように改良した. ダミーイヤを用いたテストおよび聴力正常者からの記録では電磁誘導や機械的振動性雑音の混入は認められなかった. イヤホン (NC-3) を用いシールド防音室内とシールドなしの外来の部屋でのCMの記録において両部屋の違いによる差はなかった. 従って今回試作したイヤホン (NC-3) を用いることによりベッドサイドでのCMの記録を可能にすることが出来ると考えた.
  • 村上 順子
    1995 年 98 巻 5 号 p. 832-842,929
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    過去24年間に当科で経験した小児のdip型聴力障害60例81耳を臨床的に検討し, さらに成人例139例165耳と比較しながら, 特にその成因について考察した.
    小児のdip型聴力障害は男児に多く認められ, 原因では音響外傷などの外因を有する例も有しない例もあった. 対象例の両親の聴力は特にその父親に聴力障害を多く認め, 聴力型は約半数がdip型であった. また, 成人例と比較すると本質的には両者とも同様の結果であり, 明らかな差異はなかった.
    dip型聴力障害の発生には共に男性に多く, 何らかの遺伝子要素が関与しているのではないかと推察した.
  • 臨床的, 組織形態学的検討
    江川 雅彦
    1995 年 98 巻 5 号 p. 843-854,929
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    実験的副鼻腔炎家兎における嗅上皮と呼吸上皮の組織障害とその治癒過程をHE染色, SEM, 抗BrdU抗体染色にて観察した. その結果, 治癒遅延の過程における嗅上皮への炎症の波及と嗅上皮の細胞分裂能が呼吸上皮より劣ることなどが明らかとなった. これらの所見は副鼻腔炎で見られる嗅覚障害が呼吸性とともに嗅上皮性障害を示すことを示唆した. 一方, 慢性副鼻腔炎で嗅覚障害を認める患者におけるニオイ紙による嗅覚識別検査と嗅覚閾値検査成績では他の鼻疾患のそれらと比較して嗅覚障害は重症化の傾向が見られ, 呼吸性とともに嗅上皮性障害の存在が考えられた. また副鼻腔炎で嗅覚障害を訴える患者の嗅上皮生検は臨床診断上有用であった.
  • 1995 年 98 巻 5 号 p. 855-863
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 5 号 p. 864-876
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 98 巻 5 号 p. 876-904
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 喉頭癌
    小宮山 荘太郎
    1995 年 98 巻 5 号 p. 906-909
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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