情報通信政策研究
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寄稿論文
ライブストリーミング・コンテンツと放送認可
-2019年9月26日のベルリン行政裁判所判決の分析を中心としてー
杉原 周治
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2022 年 5 巻 2 号 p. 1-27

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Abstract

ドイツでは、従来からストリーミング・コンテンツが認可を要する「放送」に含まれるのか否かにつき議論がなされてきたが、最近になって、「放送」の概念、とりわけ民間事業者によるストリーミング・コンテンツに対する法規制をめぐって大きな動きが見られた。

ひとつは、放送認可につき管轄権を有する監督機関であるZAKが、複数の事例で、インターネット上のライブストリーミング・コンテンツを「放送」とみなし、それゆえ認可が必要であると判断したことである。さらに、ベルリン行政裁判所も、2019年9月26日の判決において、Axel Springer社が提供していたライブストリーミング・コンテンツにつき、ZAKの判断と同様に、当該コンテンツを認可を要する「放送」にあたると判断している。

もうひとつは、こうした動きのなかで、2020年11月7日に、従来の放送州際協定に代わって新たに「メディア州際協定」が発効されたことである。同法は、例外的に「放送」とはみなされないコンテンツの基準を大幅に緩和し、それに伴い、認可なしに配信可能なストリーミング・コンテンツの範囲が拡大したのである。

このような背景から、ドイツでは現在、ストリーミング・コンテンツが「放送」に含まれるのか否かの議論が、判例・学説において改めて議論されているところである。そこで本稿は、こうしたドイツの議論を分析するために、とりわけ上述の2019年9月26日のベルリン行政裁判所判決を取り上げ、ドイツにおけるストリーム・コンテンツに対する法規制の内容と運用について検討を加えることにする。

1.はじめに

ドイツの放送法では、従来から「放送」と「テレメディア」の区別がなされ、前者は放送番組の放映のために認可を要するが、後者は認可を得ることなくコンテンツの提供が可能とされてきた。この点、伝統的なテレビやラジオの他、放送番組のインターネットを介したライブストリーミング配信(インターネット放送、Webcast)が「放送」に分類されること、また、ビデオ・オンデマンドなどのオンライン・コンテンツが「テレメディア」に分類されることについては、通常は争いは生じない。しかしながら、それ以外のインターネット・ストリームについては、それがどのような基準で「放送」とみなされるのかにつき議論がなされてきた。

こうしたなか、ドイツでは最近になって、「放送」の概念、とりわけ民間事業者によるストリーミング・コンテンツの配信に対する法規制をめぐって大きな動きが見られた2。ひとつは、2020年11月7日に、従来の放送州際協定に代わって新たに「メディア州際協定」(「Medienstaatsvertrag – MStV」、以下「2020年メディア州際協定」と呼ぶ)が発効されたことである3。すなわち2020年メディア州際協定は、従来の放送州際協定に比し「放送」とはみなされないコンテンツの基準を大幅に緩和し、それに伴い認可なしに配信可能なストリーミング・コンテンツの範囲が拡大したのである。

もうひとつは、放送認可につき管轄権を有する監督機関である「認可および監督のための委員会」(Kommission für Zulassung und Aufsicht、以下「ZAK」と略記)が、複数の事例で、インターネット上のライブストリーミング・コンテンツを「放送」とみなし、それゆえ認可が必要であると判断したことである。例えば、ZAKの2017年1月31日の決定4では、2017年にフランスで開催された世界男子ハンドボール選手権(Handball-WM 2017)のドイツ信用銀行(Deutsche Kreditbank (DKB))によるインターネット・ライブ中継5が認可を必要とする放送とみなされ、また、同年3月21日の決定6でも、ライブストリーミングによるゲームの実況プレイ動画(Let’s Play)を提供していたインターネット・コンテンツ「PietSmietTV」が認可を要する放送とみなされた。

さらに、これらのZAKの決定に加えて、2019年には当該問題に対する裁判所の判断も下されている。具体的には、本件は、ドイツにおける最大のメディアコンツェルンであり全国紙「Bild」で有名なAxel Springer社(Axel Springer SE)が自己のインターネット・プラットフォームである「bild.de」を介して自己の3つのコンテンツをライブストリーミング配信したところ、ZAKが2018年4月18日の決定においてこれらのコンテンツを認可が義務付けられる放送とみなしたため、同決定に対して同社が訴えを提起したという事件である。これに対してベルリン行政裁判所は、2019年9月26日の判決7において、結論としてAxel Springer社の訴えを棄却している。

このような背景から、ドイツでは現在、放送法にいう「放送」の概念、およびストリーミング・コンテンツに対する法規制のあり方をめぐる問題が、判例・学説において改めて議論されているところである。そこで本稿は、とりわけ、ライブストリームに対する規制が問題となった、上述の2019年9月26日ベルリン行政裁判所判決の分析を中心に、ドイツにおける民間事業者によるストリーミング・コンテンツに対する法規制のあり方を検討することにしたい。その際、本稿は、その論証方法として、とりわけ①ストリーム・コンテンツに対するドイツの法規制の概要、およびベルリン行政裁判所判決に関する事件の経緯について触れたのち、②同判決の判旨につき詳細な分析を加えることにしたい。

なお、本判決は2020年メディア州際協定の発効前に出されたものであるため、本稿で扱う条文は、2020年メディア州際協定ではなく、主として旧法である2019年5月1日発効の第22次改正放送州際協定8のものとすることにしたい。

2.ストリーミング・コンテンツに対する法規制の概要と本事件の経緯

ベルリン行政裁判所の2019年判決を分析する前提として、本章では、民間のストリーム提供者に対する認可体制(2.1)と、本判決に関する事件の経緯(2.2)について詳述しておくことにする。

2.1.民間のストリーム提供者に対する認可体制

民間のコンテンツ提供者は、自己のコンテンツが「放送」に分類された場合、民間放送事業者と同様に、その提供のために「認可」(Zulassung)を要する。そして、このように放送とみなされるコンテンツをインターネットを介して提供する場合には、1,000ユーロから10,000ユーロまでの手数料が発生するだけでなく9、内容上厳格な規制に服することになる。そこで、どのようなコンテンツに対して認可が必要となるかが問題となるが、以下ではこの問題を、①「放送」の概念、②放送プログラムと認可、③放送州際協定2条3項にいう認可を必要としないコンテンツ、④ストリーミング・コンテンツと認可、という4つの論点に区分して検討することにする。

(1)放送州際協定にいう「放送」の概念

放送州際協定は、「放送」の概念10につき、第2条1項1文において以下のように規定する。

放送州際協定2条1項1文

放送とは、リニアの情報・通信サービスをいう;リニアの情報・通信サービスとは、公衆(Allgemeinheit)に向けてかつ同時視聴(zeitgleicher Empfang)のためになされる、電磁波を用いた、番組スケジュール(Sendeplan)に基づく、動画または音声によるコンテンツの提供(Veranstaltung)および配信(Verbreitung)をいう。

本条項は、2009年6月1日発効の第12次改正放送州際協定で変更された規定である。それ以前の第2条1項1文は、「放送とは、公衆に向けてなされる、接続導線なしの、または導線に沿った、もしくは導線による、電気振動を用いた、言語、音声、画像によるあらゆる種類のパフォーマンス(Darbietung)の提供および配信をいう」と規定されていた。しかしながら、その後、2007年12月11日に採択されたEUにおける「視聴覚メディアサービス指令11」(Richtlinie über audiovisuelle Mediendienste、以下「AVMD指令」と略記)を受けて、2009年の改正法により上記のような規定に変更された。

このように現行の放送法上の「放送」概念は、とりわけ「リニア」、「同時視聴」、「公衆」、「番組スケジュール」といった概念によって特徴付けられるが、これらの概念の意味内容をめぐってはそれぞれ判例・学説において議論がなされてきた。

(2)放送プログラムと認可

放送州際協定は、第20条以下において、全国向け民間放送に対して、州の行政機関である「州メディア協会12」(Landesmedienanstalt)の付与する「認可」を義務付けている。この点、かつては放送の認可は州法によってのみ規定されていたが、2007年12月19日の第10次改正放送州際協定(発効は2008年9月1日)により、全国向け民間放送のために放送州際協定20条に基づく認可体制(Zulassungsregime)が構築された13。とりわけ、同20条1項および2項は以下のように規定されている。

放送州際協定20条1項および2項

  • (1) 民間放送事業者は、放送事業のために認可を要する。第21条から39a条までの規定にかかわらず、全国向けに配信される放送の事業者の認可は第20a条に従う;その他の認可は、州法に従う。(略)
  • (2) 電子情報・通信サービスが放送に分類されうる場合、またはその限りにおいて、そのようなサービスの提供者は認可を要する。(略)

放送州際協定20条1項1文では「放送事業のために」と規定されているが、認可の実質的要件は放送事業者の「放送プログラム」に結びついているため14、民間放送事業者は放送プログラムのために認可を要することとなる。

ただし、放送州際協定20条自体は認可体制の法的枠組みについて定めているにすぎず、認可の要件および手続についての詳細は同20a条以下で規定されている。また、確かに全国向け放送、すなわちすべての州で受信可能な放送プログラムの事業者に対する認可要件は放送州際協定20a条に規定されているが、それ以外の、全国向けではない放送の事業者に対する認可については、各州の法律によって個別に規定されている(放送州際協定20条1項2文)。この点、放送州際協定39条1文も、「第20a条から38条までの規定は、全国向けコンテンツに対してのみ適用される」と規定している。

放送州際協定20条1項1文に反して、「故意または過失により」認可なく放送プログラムを運営した全国向け民間放送の事業者に対しては、管轄する州メディア協会は秩序違反の処理手続を実施することができる(同49条1項1文17号、同条3項を参照)15

(3)放送州際協定2条3項にいう認可を必要としないコンテンツ

もっとも、放送州際協定は、一定のコンテンツは「放送」には含まれないとする。すなわち、放送州際協定2条3項によれば、以下に列挙するそれぞれ5つのコンテンツは同2条1項にいう「放送」とはみなされず、それゆえ認可を得ることなく提供が可能となる。加えて、このような認可不要なコンテンツは、放送に適用される青少年保護や広告に対する厳格な規制に服することなく提供が可能となる。

  • ①同時ユーザー数(同時視聴者数)が500人未満のコンテンツ(1号)
  • ②視聴デバイス(Empfangsgerät)のストレージ(Speicher)から直接的に伝達されるコンテンツ(2号)
  • ③個人的または家庭的な目的のみに用いられるコンテンツ(3号)
  • ④ジャーナリスティックかつエディトリアルに制作されていないコンテンツ(4号)
  • ⑤個別の対価(Einzelentgelt)を得て自由に提供される放送番組(Sendungen)から構成されるコンテンツ(5号)

この点、2020年メディア州際協定は、放送州際協定の上記規定を大幅に変更し、認可の要件を大きく緩和している。すなわち、同54条1項は、①「個人の、または公の意見形成にとってわずかな意義のみを有する」放送プログラム(1号)、②「6ヶ月間の平均で、同時ユーザーが20,000人未満の」放送プログラム(2号前段)、③「予測された通りの発展を遂げた」、すなわち将来的に6ヶ月平均で同時ユーザーが20,000人を下回る可能性がある放送プログラム(2号後段)は、それぞれ認可を必要としない放送プログラムとみなされる、と規定した。それゆえ、放送州際協定で規定された同時ユーザーが500人を超えるコンテンツも、2020年メディア州際協定では20,000人未満であれば認可を得ることなく提供が可能となった。同協定にいうこうした認可の不要な放送プログラムは、「些末な放送」(Bagatellrundfunk)とも呼ばれている。

ただし、2020年メディア州際協定も、同時ユーザー数の6ヶ月平均をどのように算定するのか、また、当該基準を個別の放送番組ごとに考慮すべきか否か、コンテンツ提供者が複数のチャンネルを有する場合このチャンネルの同時ユーザー数のすべてを総計すべきか否か、といった問題についてはなんら基準も設けていない16

(4)ストリーミング・コンテンツと認可

ところで放送州際協定の規定は、テレビおよびラジオといった伝統的な放送だけでなく、ウェブサイトやビデオ・オンデマンドといった「テレメディア」(Telemedien)、さらにはライブストリーミング配信されるコンテンツにも及ぶ。具体的には、放送州際協定は、「テレメディア」(同2条1項3文)と「放送」を区別し17、テレビやラジオは「放送」に、オンライン・コンテンツは原則として「テレメディア」に含まれるとする。ただし、テレメディアの例外として、コンテンツのライブストリーミング配信や、インターネットを介した放送番組の同時配信を行うインターネット放送(Web-Casting)が挙げられ、こうしたサービスは原則としてテレメディアには含まれず、放送とみなされる18

このうち、ビデオ・オンデマンドが「テレメディア」と分類されること、また、テレビ番組のライブストリーミング配信(TV-Live-Streaming)であるインターネット放送が「放送」と分類されることについては、通常は問題とならない19。議論があるのは、それ以外のインターネット・ストリームである。この点、放送州際協定2条1項1文の「放送」の概念に従えば、ライブストリームについては、それが「番組スケジュールに基づ」き、「公衆に向けてかつ同時視聴のために」提供された動画コンテンツである場合には「放送」と同様に扱われることになる。大部分のライブストリームは「公衆に向けて同時視聴のために」提供されるものであるから、これらのライブストリームとインターネット放送との差異は「番組スケジュールに基づき」提供されたものか否かとなる20。また、確かにライブ配信されてはいないが、配信開始時刻が確定しているコンテンツも、放送州際協定の規定に従えば「放送」とみなされ、それゆえ許可を義務付けられる21。しかしながら、番組スケジュールに基づき提供されたストリーミング・コンテンツであっても、同時ユーザー500人未満であった場合など、それが放送州際協定2条3項に列挙されたコンテンツである場合には「放送」とはみなされず、認可が不要となる。

ただし、この基準は上述のように2020年メディア州際協定によって変更されている。それに従えば、ストリーミング・コンテンツは、それがジャーナリスティックかつエディトリアルに制作され、番組スケジュールに基づき提供されたリニアな動画コンテンツである場合には放送と同様に扱われそれゆえ認可が必要となるが(同2条1項1文)、それが6ヶ月間の平均で同時ユーザーが20,000人を下回っているコンテンツまたは将来的にそうなる可能性のあるコンテンツである場合には、認可は不要となる。

2.2.ZAKの組織および任務

上述のように、全国向け民間放送だけでなく一定のストリーミング・コンテンツはその提供のために認可を必要とするが、この認可の付与につき管轄権を有している機関が、2008年9月1日発効の第10次改正放送州際協定によって新たに設置されたZAKである。以下では、同機関の概要につき、①州メディア協会との関係、②法的性格および組織、③任務、④監督措置のために必要な手段に区分して分析を加えることにする。

(1)ZAKと州メディア協会との関係(放送州際協定36条1項、38条1項)

民間放送の認可および監督は、原則として各州メディア協会によって州ごとに行われる。すなわち、州メディア協会は、放送認可(Rundfunkzulassung)の枠内で、意見多様性の確保のための要件が満たされているか、および放送州際協定のその他の要請が満たされているかを予防的に審査する。認可が付与された後は、州メディア協会は、放送監督(Rundfunkaufsicht)の枠内で、放送州際協定上のこれらの要請が引き続き満たされているのか否かを監視(kontrollieren)する22

しかしながら、全国向け放送に対してどのように対処すべきかについては、従来から多くの議論がなされてきた。この点、第10次改正放送州際協定は、当時の多くの学説の立場とは異なり、最終的に全国向け放送のための「連邦メディア協会」を設立することなく各々の州メディア協会の「分権化の原則23」(Prinzip der dezentralen Zuständigkeit)を保持する一方で、全国向け放送プログラムないしコンテンツに対する決定権限を、州メディア協会が有するZAKを含めた4つの共同機関(ZAK、GVK、KEK、KJM)に委ねたのである24

ところで、この州メディア協会の「分権化の原則」は、もともと1998年発効の第3次改正放送州際協定の第35条1項(当時)に導入された原則であり25、同規定は「管轄権を有する州メディア協会は、認可前および認可後に、民間事業者に適用される、本州際協定にいう意見多様性の確保のための諸規定の遵守につき審査する。同協会は、本州際協定の規定に基づき、各々の決定を下す」と規定されていた。その後に発効された改正放送州際協定でも同原則が踏襲されるとともに、とりわけ州メディア協会とZAKとの関係については以下のように規定された26

すなわち、放送州際協定36条1項は、後述する同36条2項で列挙されるZAKの任務に関する各々の事項につき、認可を付与した州メディア協会、または認可申請を受理した州メディア協会が管轄権を有すると規定し、さらに、同38条1項1文は、管轄権を有していない州メディア協会に対して、ある全国向け放送プログラムが放送州際協定の規定に違反していることにつき管轄権を有する州メディア協会に「通知」する権限を認めている。加えて、同項2文は、この法違反につき、管轄権を有する州メディア協会がZAKを介して審査すべきであると規定している。

放送州際協定36条1項

(1) 本条2項1文1、3、4、8号の事例に際しては、適切な申請、または届出(Anzeige)の送付先である州メディア協会が管轄権を有する。本項1文に基づき複数の州メディア協会が管轄権を有するときは、第一次的に当該事件を取り扱った州メディア協会が決定を下す。本条2項1文5号から7号までの事例、同9号の事例、ならびに認可または周波数割当ての取消しおよび撤回の事例においては、放送事業者に認可を付与し、周波数割当てを行い、または通知を受領した州メディア協会が管轄権を有する。

放送州際協定38条1項

(1)各州メディア協会は、管轄権を有する州メディア協会に対して、ある全国向け放送プログラム(Programm)が本州際協定のその他の規定に違反していることを通知する(anzeigen)ことができる。管轄権を有する州メディア協会は、ZAKを介して、この通知(Anzeige)について取り扱うことを義務付けられる。

(2)ZAKの法的性格および組織(放送州際協定35条1項、2項)

放送州際協定35条1項および2項は、①14の州メディア協会の間の権限分配の原則(Grundsätze der Kompetenzverteilung)、および②これらの州メディア協会が有する4つの共同機関(ZAK、GVK、KEK、KJM)の間の権限分配の原則について規定している27。具体的には、同条項は、一方で、全国向け放送に対する監督だけでなく、放送州際協定にいう諸規定の遵守に対する審査についても、14の州メディア協会全体の管轄とはせずに、原則として当該放送事業者に認可を付与した州メディア協会が義務を負うとしている(同条1項)。他方で、同条項によれば、14の州メディア協会は、同36条2項以下および青少年メディア保護州際協定16条にいう特定の任務の履行のために上述の4つの共同機関を用いるとされるとともに(同条2項)、この4つの共同機関の決定は、州メディア協会のその他の機関に対して拘束力を有するとされている(第35条9項5文を参照)。

放送州際協定35条1項および2項

(1) 第36条にいう任務(Aufgabe)は、管轄権を有する州メディア協会に義務付けられる。当該州メディア協会は、本州際協定の規定に適合するように各々の決定を下す。

(2) 第1項および青少年メディア保護州際協定の規定にいう任務の履行のために、〔以下の諸機関が〕存在する:

  • 1. 認可および監督のための委員会(ZAK)
  • 2. 委員会議長会議(GVK)
  • 3. メディア界における集中を調査するための委員会(KEK)
  • 4. 青少年メディア保護委員会(KJM)

これらの諸機関は、第36条にいう任務を履行する機関として、管轄権を有する各州メディア協会に寄与する。

ここでいう4つの共同機関(ZAK、GVK、KEK、KJM)は、独立した行政主体(selbständiger Verwaltungsträger)ではないと解されている28。それゆえ、これらの機関は、行政裁判所法61条にいう当事者能力を有せず、訴訟の原告、被告、参加人となることができない。そのような手続の関係人となるのは、管轄権を有する州メディア協会である。実際にも、例えば、Axel Springer社によるProSiebenSat.1の合併計画がKEKの2006年1月10日の決定によって拒否された事件につき、原告であるAxel Springer社は、KEKに対してではなく、州メディア協会の一つであるバイエルン州メディアセンター(BLM)を被告として訴えを提起している29。また、本事件においても後述のように、原告であるAxel Springer社はZAKではなく、管轄権を有する州メディア協会の「ベルリン・ブランデンブルク・メディア協会」(MABB)を被告として訴えを提起している。

ところで、上記の4つの共同機関のうちZAKは、放送州際協定35条3項1文によれば、14の州メディア協会の「法律上の代表者」(gesetzlicher Vertreter)によって構成される。換言すれば、ZAKは14名の構成員で組織されている。

放送州際協定35条3項

(3) それぞれの州メディア協会は、州法に規定される法律上の代表者をZAKに派遣する; 〔法律上の代表者に〕支障がある場合の代表は、常任の代表者(ständiger Vertreter)を介して認められる。ZAKの構成員の活動は無報酬とする。

ここでいう「法律上の代表者」とは、それぞれの州メディア協会の構成に応じて表記の違いはあるが、各州メディア協会のディレクター(Präsident)または会長(Direktor)をいう30(本稿では、両者を合わせて「ディレクター」と呼ぶことにする)。さらに、同条3項1文は、各ディレクターの「常任の」代理人による代表が許されると規定している。ただし、こうした「専門機関」(Fachorgan)としてのZAKの組織のあり方については、構成員の多様性が欠けているとの指摘もなされている31

(3)ZAKの任務(放送州際協定36条2項)

ZAKの任務は、放送州際協定36条2項で列挙されている。同条項によれば、ZAKは、「委員会議長会議」(Gremienvorsitzendenkonferenz 、以下「GVK」と略記)の管轄権が及ばない限りで、とりわけ①放送事業に対する認可(1号)、②周波数の割当て(3号)、③全国向けコンテンツ提供者に対する監督(7号)、等に関する決定を下す32

ところで、GVKは、もともと1989年に設立されていた組織であったが、第10次改正放送州際協定によってはじめて放送州際協定に明記され、法的な権限を付与された機関である33。GVKは、前述した(本章2.1注(12)を参照)各州メディア協会内部の意思決定機関の議長(Vorsitzende)から構成され34、全国レベルのメディア監督構造のなかではZAKの下位に属する35

(4)監督措置のために必要な手段(放送州際協定38条2項)

放送州際協定38条1項は、上述のように、管轄権を有していない州メディア協会の通知の権限について規定しているが、同2項は、管轄権を有する州メディア協会の事後的な監督権限について規律している36。具体的には、同条項によれば、管轄権を有する州メディア協会は、コンテンツの提供者が放送州際協定の規定に違反したことを確認した際には、ZAKを介して監督のために「必要な措置」を講ずる義務を負うとされる37

放送州際協定38条2項

(2) 管轄権を有する州メディア協会が、ある〔放送プログラム〕提供者が本州際協定の規定に違反したことを確認したときは、同協会は必要な措置を講ずる。この措置とは、とりわけ、異議(Beanstandung)、禁止(Untersagung)、取消し、および撤回である。青少年メディア保護州際協定の規定は、これによって影響を受けない。

すなわち、同条項は、事後的な監督措置のための必要な手段の具体例として、「異議」、特定のコンテンツの提供の「禁止」、周波数の割当てまたは放送認可の「取消し」と「撤回」を挙げている。同条項でいう手段は例示的に列挙されたにすぎず、管轄する州メディア協会がとりうる措置はこれに限るものではないと解されている38。また、具体的にどの監督手段を選択するかは管轄権を有する州メディア協会またはZAKの裁量に委ねられている39

2.3.本事件の経緯

以上のようなストリーミング・コンテンツに対する法規制を踏まえて、以下では本事件の経緯について詳述する。

(1)Axel Springer社によるストリーム・コンテンツ事業の開始

ドイツにおける最大のメディアコンツェルンであり、とりわけ全国紙である大衆紙「Bild」で有名な「Axel Springer SE40」(以下、「Axel Springer社」ともいう)は、数年前から、「Bild」のコンテンツを頒布するために、とりわけ自身のインターネット・プラットフォームである「BILD.de」で、インターネットを介したライブまたはオンデマンドのストリーミング配信に力を注いできた。例えば、同社は、2015年7月に、日々のニュースを提供するコンテンツ「Bild Daily」の配信を、2016年11月には、政治関連のトークを扱うコンテンツ「Die richtigen Fragen」の配信を開始した。これらのストリーム・コンテンツは、「インターネット・ビデオ・フォーマット(Internet-Video-Formate)」(以下、「フォーマット」と呼ぶ)と呼ばれている。

その後も、Axel Springer社はストリーム・コンテンツの領域を強化してゆき、2022年1月時点で、ポータルサイトの「BILD online Videos – bild.de」から、上述の「Die richtigen Fragen」の他、例えば、時事ニュースを扱う「MEIST GESEHEN」、サッカーに関するトークを扱う「Reif ist Live」、著名人のゴシップネタを扱う「PLACE TO B STARS & STORIES」など、数多くのフォーマットを提供している41

(2)Axel Speringer社が提供する3つの「フォーマット」

ところで、本事件の発生時である2018年頃、Axel Springer社は、上述したインターネット・プラットフォーム「BILD.de」で、「Die richtigen Fragen」、「Bild live」および「Bild-Sport – Talk mit Thorsten Kinhöfer」という、ライブストリーミング配信される3つのフォーマット(以下、「ライブストリーム(Live-Streams)」ともいう)を配信していた。これらのフォーマットについては、2018年4月3日まではAxel Springer社の完全子会社であるBild有限会社(Bild GmbH)が運営していたが、同年4月4日以降は親会社であるAxel Springer社が運営している。

このうち、「Die richtigen Fragen」は、通常は政治家が出演して特定の政治的事件について質問に受け答えするなど、政治をテーマとした情報フォーマットであり、2018年当時、アンナ・フォン・バイエルン(Anna von Bayern)とニコラウス・ブローメ(Nikolaus Blome)の司会の下で、毎週月曜日の朝8時から、「BILD.de」を介してライブストリーミングで提供され、その後、FacebookやYouTubeでもオンデマンドで配信されていた42

「Bild live」は、上述した「Bild Daily」が2018年1月に終了した後に、その後継コンテンツとして配信されたフォーマットである。同フォーマットは、アンカーマンであるモーリツ・ヴェーデル氏(Moritz Wedel)の司会の下で、政治・スポーツ・娯楽の領域におけるアクチュアルな事件について扱うものであり、特定の時間帯ではなく、平日に、臨時にかつある問題に限定されて(spontan und anlassbezogen)、つまり必要に応じて「実況中継」(Live-Schaltungen)の形式で配信された。このコンテンツも、ライブ配信の後、FacebookやYouTubeにおいてオンデマンドで配信されていた。ところで、前進番組の「Bild Daily」が特定の時間帯に、すなわち平日の18時45分にライブストリーム配信されていたのに対して、「Bild live」が臨時の配信に変更された理由は、既に管轄権を有する州メディア協会(MABB)から批判を受けていたことに対する反応であったとされている43

「Bild-Sport – Talk mit Thorsten Kinhöfer」は、毎週土曜日の17時30分にライブストリーミングで配信されるコンテンツであった。その内容は、サッカーのブンデスリーガの元審判であるキンヘファー氏(Kinhöfer)が当日のサッカーの試合の審判の判定についてコメントし、視聴者と議論するというものであった。ただし、このフォーマットはブンデスリーガの2017/2018年シーズン後に終了している。

これら3のライブストリームのインターネット配信は、その技術的な理由から、少なくとも500人のユーザーに対して同時視聴できることとなっていたが、それを超えるユーザーに対して同時配信を技術的に排除する予防措置はとられていなかった。

(3)2018年4月18日のZAKの報告および同年5月4日のMABBの決定

こうした動きのなか、監督庁であるZAKは、2018年4月18日に、これら3つのフォーマットは「認可を義務付けられる放送」(zulassungspflichtiger Rundfunk)とみなされる、という報告を行った44。すなわち、ZAKによれば、これらのフォーマットは番組スケジュールに基づいて放送され、また同時視聴のために提供されているリニアのコンテンツであるため、放送に課された諸要請が求められる、という。

この報告に基づき、本件被告であり、管轄権を有する州メディア協会である「ベルリン・ブランデンブルク・メディア協会」(Medienanstalt Berlin-Brandenburg、以下「MABB」と略記)は、同年5月4日の自己の決定(Bescheid)に基づき、Bild有限会社に対して、この3つのフォーマットの配信のために認可申請(Zulassungsantrag)を行うよう要請した45。同決定の通知は同年5月15日にBild有限会社に到達したが、実際にMABBは、その到達後2週間以内にBild有限会社が認可を申請しなかった場合には本件フォーマットの提供を禁止するとしていた46

これに対して、Axel Springer社は、本件フォーマットはすべて同時視聴にためになされたものでも、番組スケジュールに基づき配信されたものでもなく、また、とりわけ「Bild live」は2018年1月の配信開始以来、配信開始時刻を特定せず、臨時に必要に応じて配信されていた、と主張した47

(4)2018年7月13日のMABBの決定

その後、Bild有限会社は、上記のMABBの決定に対して、同年5月末にベルリン行政裁判所に、取消訴訟および「緊急の権利保護」(Eilrechtsschutz)の申立てをした48。ところが、その間、MABBは、当該フォーマットが2018年4月4日以降Bild有限会社ではなく、その親会社であるAxel Springer社によって運営されており、それゆえ上記決定が正確な名宛人に送付されていないことを確認したため、同決定の執行、すなわち本件フォーマットの配信禁止の実行を中断した49。その後、MABBは、6月18日に、新たな決定のための理由書および草案をZAKに送付した。

これを受けてZAKは、6月26日の第95回会議においてMABBの草案を全会一致で採択し、MABBの決定理由書に内容上合致する決定を下し、MABBに対して通知の交付を依頼した。その後MABBは、7月13日に新たな決定(Az. 118/2018)を作成し、Axel Springer社に送付した。その内容は、上記の5月4日のものと内容上同じであり、そのなかでMABBは、以下の第1項から5項までの計5点について主張した。

  • ① Axel Springer社が本件の3つのライブストリームを、放送州際協定20条1項にいう認可を得ることなく配信したことの確認(第1項)
  • ② 第1項で確認された違法行為に対する異議申立て(第2項)
  • ③ 少なくとも過失に基づく違法行為が認められる場合に、秩序違反として処罰する可能性の指摘(第3項)
  • ④ Axel Springer社が2018年9月3日までに認可の申請をしなかった場合には、当該ライブストリームの運営および配信が禁止されることの確認(第4項)
  • ⑤ 5,000ユーロの行政手数料(Verwaltungsgebühr)の支払いの確定(第5項)

さらに、MABBは、この決定のなかで、本件ライブストリームが放送と位置付けられた理由につき、とりわけ以下のようにいう。すなわち、①本件ライブストリームは、公衆に向けてかつ同時視聴のためになされる、リニア視聴覚情報・通信サービスに分類される。とりわけ、その同時視聴のための用途(Bestimmung zum zeitgleichen Empfang)は、ライブ配信のインテグレーション、またはチャットもしくはコメント機能等を介した視聴者の双方向性という点からも明らかである。②本件ライブストリームの提供および配信は、番組スケジュールに基づいて行われている。番組スケジュールに基づいているか否かの基準となるのは、とりわけ、ライブストリームの規則性(Regelmäßigkeit)、頻度(Häufigkeit)、即時性(Aktualität)、予告、視聴者との直接的な対話、番組プログラムの継続目標である。また、週に若干の番組を配信しているだけであるとしても、その番組スケジュールの存在が排除されるわけではない。③本件ライブストリームは、ジャーナリティックかつエディトリアルに制作されている、と主張した。

(5)Axel Springer社による取消しの訴えと緊急申立て

MABBによるこの2018年7月13日の決定に対して、Axel Springer社は、8月15日に、再度新たに、ベルリン行政裁判所に取消訴訟を提起した50。なお、それと同時に、Axel Springer社は執行停止効力(aufschiebende Wirkung)の命令の申立てをしたが、ベルリン行政裁判所は、2018年10月19日の決定(VG 27 L 364.18)51において、この緊急申立て(Eilantrag)を概ね認めた。さらにMABBは、本件フォーマットの配信は放送認可を要すると主張して控訴したが、控訴審であるベルリン・ブランデンブルク上級行政裁判所は、2019年4月2日の決定(OVG 11 S 72.18)においてMABBの控訴を棄却している52

3.ベルリン行政裁判所2019年9月26日判決

Axel Springer社の取消しの訴えに対して、ベルリン行政裁判所は、2019年9月26日の判決において、MABBの本件決定のうち第3項にいう措置は違法であるが、その他の同1項、2項、4項、5項にいう措置は適法であるとし、結論としてAxel Springer社の訴えを棄却した。その根拠は多岐にわたるが、本稿は、これを①本決定第3項にいう措置の適法性、②本決定第1項、2項、4項、5項にいう措置の形式的審査、③本決定第1項、2項、4項にいう措置の実質的審査、④本決定第5項にいう措置の実質的審査、に分類して、これを分析することにする。

3.1.MABBの本決定第3項にいう措置の適法性

MABBは、上述のように、本決定の第3項において「少なくとも過失に基づく違法行為が認められる場合に、秩序違反として処罰する可能性の指摘」を主張したが、この秩序違反の指摘(Hinweis)に本件取消訴訟の対象性が認められるか否かが問題となる。

ベルリン行政裁判所は、本判決において、第一次的に、この指摘はMABBの「単なる法的見解(Rechtsmeinung)」にすぎず、「行政手続法35条1項にいう行政行為のために必要な規律力(Regelungswirkung)を欠いている」という。それゆえ、このような「単なる形式的な行政行為は、さらなる内容審査をすることなく取り消されなければならない」と述べて、結論としてMABBの本決定第3項にいう措置は違法である、と判示した53

3.2.MABBの本決定第1項、2項、4項、5項にいう措置の形式的審査

MABBは、上述のように、本決定のなかで、Axel Springer社が本件ライブストリームを認可なしに配信したことによる放送州際協定20条1項1文違反の確認(1項)、同社の当該違反行為に対する異議申立て(2項)、同社が2018年9月3日までに認可申請をしなかった場合の、当該ライブストリームの運営および配信の禁止処分(4項)、行政手数料の支払いの確定(5項)を主張した。ベルリン行政裁判所は、これらの措置が形式的に適法であるか否かを審査する。その際、同裁判所は、以下のように①当該措置の法的根拠、②MABBの管轄権の有無、③聴聞の有無について審査し、結論としては、本件措置は形式的に適法であると判示した54

(1)MABBの本決定の法的根拠

ベルリン行政裁判所は、第一に、当該措置の法的根拠につき以下のようにいう55。すなわち、同裁判所は、一方で、MABBの本決定第1項、2項、および4項の法的根拠は、「放送州際協定20条1項1文と結びついた同38条2項1文および2文である」とする。

他方で、同裁判所は、本決定の第5項の法的根拠は、「2009年10月9日の全国向け民間放送の領域における費用の徴収に関する規則(Kostensatzung)の第1条および2条と結びついた放送州際協定35条11項である」とする。すなわち、放送州際協定35条11項は「手続関係人からは、管轄権を有する州メディア協会を介して、適切な額の費用が徴収されうる。州メディア協会は、全協会一致の規則により詳細を規律する」と規定するが、本条項により、州メディア協会は、全国向けコンテンツに対するメディア監督手続のための適切な費用を手続関係人から徴収することができ、またそのための規則を14の州メディア協会が全員一致で規律できるとされている56。そのため、本件においても同条項に基づきMABBはAxel Springer社に対して行政手数料の支払いを請求できるとした。

ただし、ベルリン行政裁判所によれば、MABBの本件措置の法的根拠として放送州際協定20条2項を論じる必要はないという57。その理由につき、同裁判所は、確かに本件ライブストリームについては、それが「放送に分類されうる、それゆえ放送州際協定20条2項に基づき認可を要する電子情報・通信サービス」であるか否かという議論はあるが、同20条1項と同様に同2項もサービス提供者に対して認可義務を課しているため、結果として「伝統的な」放送であるか、または「放送に分類されうる」電子情報・通信サービスであるかは本件では結論に影響を及ぼさないからである、としている。

(2)MABBの管轄権

ベルリン行政裁判所は、第二に、本決定第1項、2項、4項、5項にいう措置につきMABBが管轄権を有していたか否かを審査し、結論としてこれを認めている58

すなわち、同裁判所によれば、放送州際協定35条1項に従えば同36条にいう任務は土地管轄を有する州メディア協会の責務であり、同36条1項1文および3文に従えば本件においてMABBはAxel Springer社に対する監督措置の実施につき土地管轄を有する州メディア協会である、という。さらに、同裁判所は、同35条2項に従えば、同条7項にいう州メディア協会の「機関」としてZAKがこの任務につき管轄権を有し、ZAKは、同36条2項1文に従えば、同20条1項1文にいう認可義務の確認(Feststellung der Zulassungspflicht)、および同38条2項1文にいう監督措置(Aufsichtsmaßnahme)につき管轄権を有するため、前者につき本決定の第1項、後者につき本決定の第2項および4項につき管轄権を有することになる、という。

加えて、同裁判所によれば、MABBが監督措置の実施に関する管轄権を有することから、MABBは、放送州際協定35条11項にいう「管轄権を有する州メディア協会」に該当し、それゆえ行政手数料の徴収、つまり本件決定第5項についても管轄権を有することが明らかであるという。

(3)聴聞の有無

ベルリン行政裁判所は、第三に、MABBによる本件決定の発布前に行政手続法28条に基づく関係者の「聴聞」(Anhörung)がなされた否かの問題について審査する。ただし、同裁判所は、本件において「いずれにしても聴聞の実施に際しての起こりうる瑕疵は、行政手続法45条1項3号に基づき、追完(Nachholung)によって治癒された」ため59、本決定の発布前に聴聞が行われたか否かは「未解決にしておくことができる」と判示した60。つまり、同裁判所によれば、「行政手続法45条2項によれば、聴聞は行政訴訟手続の最終事実審の終結までに追完することができる」のであって、本件では「いずれにしても、原告は、本件訴訟における書面の陳述の範囲内で、〔行政〕決定にとって重要となる事実を表明する十分な機会を得ていた」という。

3.3.MABBの本決定第1項、2項、4項にいう措置の実質的審査

以上の議論を踏まえて、ベルリン行政裁判所は、MABBの本決定第1項、2項および4項にいう措置の適法性に関する実質的審査を行う。ところで、前述のように、民間放送事業者は放送事業のために放送州際協定20条1項1文に基づき認可を要し、さらに、放送州際協定38条2項によれば、管轄権を有する州メディア協会は、放送事業者が同協定の規定に違反したことを確認した場合に、異議、禁止、取消し、撤回という措置を講じることができる。このことから、ベルリン行政裁判所は、MABBの本件決定第1項、2項、4項の措置の適法性審査に際して、「本件の訴訟のために最終的に決定すべきことは、放送州際協定20条1項1文に基づき当該ライブストリームが放送と位置付けられうるか否かの問題に回答することである」、と判示する61。そして、同裁判所は、結論として本件で争いの対象となっているAxel Springer社のライブストリームは、放送州際協定2条1項1文にいう「放送」の諸要件を満たしており、それゆえMABBの当該措置は適法であるという。その論拠は多岐に渡るが、以下ではそのうち、①「リニア」の概念、②「同時視聴」の概念、③「公衆」の概念、④本件フォーマットの放送州際協定2条3項の該当性、⑤「番組スケジュール」の概念、⑥比較衡量に基づく審査、⑦プレスの自由に対する侵害の有無を取り上げ、検討を加えることにする。

(1)「リニア」の概念

前述のように、放送州際協定2条1項1文によれば、放送とは「リニアの情報・通信サービス」をいい、さらにこの「リニアの情報・通信サービスとは、公衆に向けてかつ同時視聴のためになされる、電磁波を用いた、番組スケジュールに基づく、動画または音声によるコンテンツの提供および配信をいう」とされる。ベルリン行政裁判所は、第一に、ここでいう「リニア」(Linearität)の概念について論じている。

ところで、ベルリン行政裁判所が述べるように、放送州際協定にいう「リニア」の概念は、2007年12月11日に採択されたEUにおけるAVMD指令に由来するものである62。とりわけAVMD指令は、2010年の統合版の規定63によれば、放送その他の映像配信サービスを、「テレビジョン放送」(「television broadcasting」または「televison broadcast」、ドイツ語で「Fernsehprogramm64」という)、すなわち「リニア視聴覚メディアサービス」(linear audiovisual media service)と、「オンデマンド視聴覚メディアサービス」(「on-demand audiovisual media service」、ドイツ語で「audiovisueller Mediendienst auf Abruf」という)、すなわち「ノンリニア視聴覚メディアサービス」(non-linear audiovisual media service)とに区別する(第1条1項e号およびg号)。このうち、前者の「テレビジョン放送(リニア視聴覚メディアサービス)」とは、番組スケジュールに基づき、放送番組の同時視聴のためにサービス提供者によって提供される視聴覚メディアサービスをいう。後者の「オンデマンド視聴覚メディアサービス(ノンリニア視聴覚メディアサービス)」とは、ユーザーの選択した時間に、かつユーザーの個別の要求に基づき、サービス提供者の「プログラム・カタログ」(catalogue of programmes, ドイツ語で「Programmkatalog」という)から提供される視聴覚メディアサービスをいう。

このことからベルリン行政裁判所は、AVMD指令に従えば、「同時視聴のための用途」(Bestimmung zum zeitgleichen Empfang)および「番組スケジュールに基づく伝送」(Ausstrahlung entlang eines Sendeplans)という概念は、「ノンリニア視聴覚メディアサービス」と「リニア視聴覚メディアサービス」とを区別するための、すなわち「リニア」を定義するための本質的なメルクマールである、と述べている65。それゆえ、本法廷は、「放送」の要件に関して、とりわけ「同時視聴」および「番組スケジュール」の概念につき詳細な検討を加えている。 

(2)「同時視聴」の概念

第二に、ベルリン行政裁判所は、放送州際協定2条1項1文にいう「同時視聴」(zeitgleicher Empfang)の概念について論じる。この点、同裁判所は、学説および第12次改正放送州際協定の立法理由書(Begründung zum Zwölften Staatsvertrag zur Änderung rundfunkrechtlicher Staatsverträge – 12. RÄndStV)を引用したうえで、以下のようにいう。すなわち、「同時視聴のための用途」とは、「受信者が、提供されたテレビジョン放送(Programm)を視聴しうる時間に対してなんらの影響力を有さない」ことを意味する。加えて、ユーザーの大半が例えば録画などをしているために実際には同時刻に視聴していない場合や、技術的な理由からコンテンツの中継に若干の時間的な遅れが生じている場合でも、「同時視聴」がなされているということができる、という66

ベルリン行政裁判所によれば、こうした基準に照らせば、本件の3つのフォーマットは同時視聴のために用いられたということができるという。その理由につき、本法廷は以下のように述べる67

「本件の3つのすべてのフォーマットは、明らかに、(ビデオ・オンデマンドの提供とは対照的に)受信者が送信(Ausstrahlung)の開始時間を選択することも各々の中継を事前録画することもできないことを前提とするライブストリーミングとして配信されており、また送信されていた。このことは、上述のフォーマットがライブストリームとしての送信の後にオンデマンドでも視聴しうる、という事実によっても変わらない。上述した〔リニアの〕定義に従えば、当該フォーマットが、その大部分において、オンデマンドで利用されていたか否かも重要ではない。原告にとってなぜライブでの報道が重要であったのかは、原告自身が一番正確に記述している。いわく、『その理由は、事件の可能な限り信憑性のある直接的な印象を伝達したいという、ジャーナリスティックなコンセプトにある。緊張感をもった、場合によっては言い間違えることもある、事件をライブで報道するレポーターは、録画された報道とは別の印象を伝達するものである(…)。このことにより、報道(Beitrag)は、より魅力的で信用できるものとなるのである』(Schriftsatz vom 31. Juli 2019, S. 15 f.)。原告にとっては当該フォーマットの描写された制作内容のみが重要なのであって、同時ライブ視聴(zeitgleicher Live-Konsum)は重要ではない、という原告の主張は、本法廷を納得させうるものではない。〔さらに〕原告は、当該フォーマットをオンデマンドでのみ提供し、ライブストリームとして配信することを放棄することも可能であった、と主張する。〔しかしながら〕原告がこれを行わなかったという事実は、その限りで原告にとってはまさに同時視聴が重要である、ということを示している。放送中の番組のなかで当該プログラムの内容につき議論することを受信者に可能とするようなコメント機能が開設されていたことも、このことを裏付けるものである」。加えて、「〔本件フォーマットが〕同時視聴という構成要件メルクマールの下に包摂されるために、受信者が番組の開始時に『Play-Button』をクリックしなければならないか否か、または、番組の中継が直接的に各々のホームページの呼び出し(Aufruf)によって開始されるか否かも、重要ではない。『Play-Button』の確認が同時視聴のための用途〔という要件〕の排除にどの程度つながりうるかは、明らかでない」。

(3)「公衆」の概念

第三に、ベルリン行政裁判所は、放送州際協定2条1項1文にいう「公衆」(Allgemeinheit)の概念について論じる68。ところで、前述のように、2009年6月1日発効の第12次改正放送州際協定以前の同条項の規定が「放送」を「パフォーマンス(Darbietung)の提供および配信をいう」と定義していたことから、従来は、この「パフォーマンス69」の概念が放送概念の基準とされてきた70。このパフォーマンスというメルクマールは、第12次改正放送州際協定によって削除され、代わりに「コンテンツ」という文言が採用された。したがって、「パフォーマンス」の概念は確かに同改正以後はもはや「放送」の構成要件とはなっていないが、本法廷は、学説の見解に従い71、現行規定にいう「公衆」にメルクマールは、このパフォーマンスという放送基準を含むものであると解した72

それに加えて、従来から連邦憲法裁判所は、「放送は、メディアのなかでも、その『普及作用』(Breitenwirkung)、『即時性』(Aktualität)、『暗示力』(Suggestivkraft)ゆえに特別な意味を有する」と判示しており、「放送」のメルクマールとして、普及作用、即時性、暗示力を挙げてきた73。本判決は、学説同様74、この三つのメルクマールも現行規定にいう「公衆」の概念に含まれると解した75

(4)本件フォーマットの放送州際協定2条3項該当性

第四に、ベルリン行政裁判所は、本件フォーマットが放送州際協定2条3項にいうコンテンツに該当するか否かを審査する76

ところで、前述のように、同2条3項によれば、同時ユーザー(同時視聴者数)が500人未満のコンテンツ(1号)、視聴デバイスのストレージから直接的に伝達されるコンテンツ(2号)、個人的もしくは家庭的な目的のみに用いられるコンテンツ(3号)、ジャーナリスティックかつエディトリアルに制作されていないコンテンツ(4号)、または、個別に対価を得て自由に提供される放送番組から構成されるコンテンツ(5号)は、同2条1項にいう「放送」とはみなされず、それゆえ認可を得ることなく提供が可能である。

本法廷によれば、本件フォーマットはここで列挙されるどのコンテンツにも該当しないという。すなわち、本件フォーマットは、同時視聴者数が500人未満のコンテンツではなく(1号)、視聴デバイスのストレージから直接的に伝達されるコンテンツではなく(2号)、個人的または家庭的な目的にのみ用いられるものでもなく(3号)、また、個別に対価を得て提供されるコンテンツでもない(5号)という。さらに、本法廷は、「本件フォーマットはジャーナリスティックかつエディトリアルに制作されているため、放送州際協定2条3項4号にいう排除理由も考慮されない」という。その理由につき、同裁判所は以下のようにいう77

「本件で争いの対象となっている原告のライブストリームは、日々の最新のテーマおよび事件のつき、伝統的なジャーナリスティックなフォーマット、つまり司会、コメント、ルポタージュ、報道、トーク、トークショー、インタビューを含んでいる」。「加えて、本件原告が非常に有名なドイツの日刊紙を発行するヨーロッパにおける最も巨大なプレス企業のひとつであり、また、原告の主張に従えば、原告が自己のプレス活動をライブストリームで補完する意図を有しているという背景に鑑みれば、原告が公の意見形成のプロセスに参加する意思を有していることには疑念の余地がない」。

とりわけフォーマット「Bild-Sport – Talk mit Thorsten Kinhöfer」については、「スポーツイベントのライブコメントのみでジャーナリスティックかつエディトリアルな制作という要件は満たされる、いうことが言及されなければならない。つまり、キンヘファー氏による〔サッカーの試合の審判の判定に対する〕包括的な事後評価によって、この要件は問題なく満たされるのである」。

(5)「番組スケジュール」の概念

第五に、ベルリン行政裁判所は、放送州際協定2条1項にいう「番組スケジュール」(Sendeplan)の概念の意味内容について論じる78。そのうえで、同裁判所は、結論として本件フォーマットは「番組スケジュール」に基づいて提供されたコンテンツであると判示したが、その際、同裁判所は、①「番組スケジュール」の概念をめぐる学説の議論、②「番組スケジュール」の概念をめぐる本法廷の立場、および③本件フォーマットの「番組スケジュール」の要件該当性について論じている。

(a)「番組スケジュール」の概念をめぐる学説の議論

ベルリン行政裁判所によれば、確かに「番組スケジュールの概念は、放送州際協定にもAVMD指令にも定義されていない」が、「番組スケジュールの意味内容を導き出すために、放送州際協定およびAVMD指令で定められている定義が考慮されなければならない」という79。具体的には、一方で、放送州際協定2条2項1号は、「放送プログラム(Rundfunkprogramm)とは、番組スケジュールに基づき時間的に配列された、コンテンツの連続(Folge)をいう」と規定し、また同項2号は、「放送番組(Sendung)とは、放送プログラムの一部分であり、内容上の関連性を有する、完結的な、時間的に限定されたものをいう」と規定する。他方で、AVMD指令1条1項b号1文は、「『放送番組(programme, Sendung)』とは、メディアサービス提供者によって作成された番組スケジュールまたはプログラム・カタログの個々の構成要素である、音声を伴うまたは伴わない動画の連続(Abfolge)であって、その形式およびコンテンツがテレビジョン放送の形式およびコンテンツに類するものをいう」と規定し、また同項d号は、「メディアサービス提供者」とは「視聴覚メディアサービスの視聴覚コンテンツの選択につき、エディトリアルな責任を負う自然人または法人」をいうと規定する。同裁判所は、これらの規定に従えば、番組スケジュールという概念は、「放送事業者が自己の放送プログラムの個別の放送番組を一定の順番で構成していることを前提」とし、「時間および配列によって特徴付けられ」、さらに「エディトリアルなスケジュールを介して時間的に配列された、放映されるプログラムコンテンツの連続を意味する」という80。ただし、同裁判所によれば、番組スケジュールに関する以下の四つの論点につき学説において議論があるという。

一つ目は放送番組の数である81。この点、本法廷によれば、学説のなかには、番組の数がひとつだけの場合にはいまだ番組スケジュールが存在しているとは言えず、放送プログラムに少なくとも2つ以上の番組が含まれることが必要であると主張するものがあるという。ただし、これらの学説も、現時点ではひとつの番組しか存在しないが、将来的にさらなる番組が計画されている場合、または放送プログラムのコンセプトからさらなる番組の放送がなされることが明確な場合には、番組スケジュールの存在は認められうると主張しているという。

二つ目は、複数の放送番組の「直接的な相互の」(unmittelbar aufeinander)連続性である82。すなわち、本法廷によれば、学説のなかには、番組スケジュールが存在しているというためには、原則として複数のコンテンツが直接的に相互に連続して提供されていることが必要になると主張するものがあるという。ただし、学説のなかには、複数の連続したコンテンツで構成されているが、そのプログラム自体の長さが短い場合には、その意味と目的に従い、同プログラムが視聴者の観点から伝統的なリニアの放送プログラムに類するものか否かが問題とされる、と主張するものもあるという。

三つ目は、放送番組の予告である83。すなわち、番組スケジュールが存在しているというためには放送プログラムの予告(Programmankündigung)が公表されていることが必要となるが84、学説には、放送番組の配信の順番が不規則である場合には番組スケジュールの存在は認められないとする立場や、当該コンテンツの提供は月に一回のみであるが規則的に配信されている場合にはそれは認められうるとする立場が見られる、という。

四つ目は、個々の番組のエディトリアルな選択および配列である85。すなわち、本法廷によれば、例えばオリンピック等のスポーツイベントの中継のように、複数のコンテンツが相互に連続しているがそれぞれがエディトリアルに制作されていないライブストリームにつき、番組スケジュールが存在しているといえるか否かは学説において争いがあるという。なぜなら、このようなケースでは、コンテンツの提供者は、確かに当該コンテンツを時間的に連続して提供するが、その選択および時間的な配列は当該スポーツイベントのプログラムに基づいて決まるからである。本法廷によれば、この点につき学説には、そのようなライブストリームについても番組スケジュールの存在を認める立場がある一方で、放送事業者は自己のエディトリアルな責任に基づきコンテンツの時間的な連続性も計画しなければならないと指摘するものがある、という。

(b)「番組スケジュール」の概念をめぐる本法廷の立場

以上の議論を踏まえて、ベルリン行政裁判所は、「番組スケジュール」の概念は以下のように解すべきであるという86。すなわち、ひとつの、独立した、臨時に、必要に応じて提供される、継続性を指向しない番組については、番組スケジュールが存在しているとはいえない。これに対して、複数の番組が内容的および時間的に連続して提供されることが意図されている場合、つまりそれが「フォーマットのエディトリアルなコンセプトの一部である場合」には、番組スケジュールの存在は認められる。換言すれば、番組スケジュールが認められるためには、個々の番組の「頻度」と「規則性」が重要となるという。ただし、その際、これら複数の番組が「直接的に相互に連続」している必要はなく、また、フォーマットの長さが番組スケジュールの要件となりうるか否かは本件では未解決にしておくことができる、という。

「本法廷の見解に従えば、あるひとつの、独立した、純粋にある問題に限定された(anlassbezogen)、継続性を指向しない番組については、番組スケジュールは存在しない」。「それに対して、別の複数の番組の内容的および時間的連続性が明確に意図されている場合、つまりそれがフォーマットのエディトリアルなコンセプトの一部である場合には、いずれにしても番組スケジュールが存在する。そのための間接証拠は、各々のライブストリームの頻度(Häufigkeit)および規則性(Regelmäßigkeit)である」。ただし、「その際、複数の番組が直接的に相互に連続する、ということは必要ではない」。「むしろリニアという伝統的な表現にとって決定的なことは、視聴者自身が(他のオンデマンドのフォーマットとは異なり)時間の進行に対して影響力を有さない、ということである」。これに対して、「フォーマットの長さ(Länge)が番組スケジュールの存在に影響を及ぼすか否かは、本件では未解決にしておくことができる。なぜなら、〔いずれにせよ〕原告の本件ライブストリームは伝統的なニュースおよび娯楽フォーマットの長さと一致しているか、またはそれを超えているからである」。

加えて、本法廷は、2020年メディア州際協定の草案が、番組スケジュールの概念につき「放送番組の内容的および時間的な連続性の確定であり、継続性(Dauer)を指向し、放送事業者によって確定され、かつユーザーによって変更されえないもの」(同2条2項2号)と定義されていることを指摘している87

(c)本件フォーマットの「番組スケジュール」の要件該当性

上述の解釈に基づき、ベルリン行政裁判所は、本件で争いの対象となったライブストリームにつき番組スケジュールが存在しているか否かを審査する。その結果、同裁判所は、以下のように述べてこれを認めている88

第一に、本法廷によれば、フォーマット「Die richtigen Fragen」は「とりわけ、日々の政治事件に関する政治家のインタビューから構成されており」、さらにフォーマット「Bild-Sport」は「当時のブンデスリーガの審判であるキンヘファー氏を介した、土曜日のサッカーの試合のコメントから構成されていた」が、「これらの番組の根底には、週に一度、定時に、ライブストリームで提供される(されていた)という、時間的にも明確な構造がある(あった)」という。さらに本法廷によれば、「本件ライブストリームが明らかに原告に帰属している(していた)限りにおいて」、当該フォーマットがFacebookやYouTube上で固定番組として提供されていたか否かは、本件において番組スケジュールが存在したとする結論を左右するものではない、という。

第二に、本法廷によれば、フォーマット「Bild live」も、「それが(他の二つのフォーマットとは異なり)プログラムの固定された枠(fester Programmplatz)を有せず、それぞれある問題のみに限定されて、異なる時間帯に、平日にライブストリーミングで提供されていたにもかかわらず、『番組スケジュールに基づく』という要件を満たしている」という。その理由につき、本法廷は以下のように述べる。

フォーマット「Bild live」についても、「番組の内容上の連続性は、明らかに原告によって決定されている。例えば 原告は確かに番組のなかで、事前に確定していない出来事につき伝えているが、その後に日々のとりわけ最新の事件(Anlass)をそれぞれ番組の対象とするという、ジャーナリスティックかつエディトリアルなスケジュールを立てている」。

同フォーマットの「時間的な連続性も、放送州際協定2条1項1文後段にいう番組スケジュールに従っている。被告だけでなく原告の主張および資料は、当該フォーマットが(非常にわずかな例外はあるものの)平日に放送されていたということを裏付けている」。「したがって、このフォーマットも、月曜日から金曜日までの毎日の番組の時間的スケジュールに基づいている。その際、本法廷は、〔当該フォーマットにつき〕複数の番組の連続性が意図さていること・・・また、平日において新たな別の『臨時の(spontan)』番組は提供されていない、ということを確認している。むしろ、このことは、フォーマット『Bild live』を、コミュニケーション的な公共圏(kommunikative Öffentlichkeit)を創造し、その限りで実際に全くの臨時のフォーマットよりもより信用性〔のあるコンテンツ〕を提供する、平日に規則的に〔提供される〕ニュースフォーマット(Nachrichtenformat)として位置付けようとする原告のジャーナリスティックかつエディトリアルなコンセプトに適合する。個々の番組の連続性は、たとえばスポーツイベントの中継のように『他律的』(fremdbestimmt)ではなく、むしろエディトリアルな判断に従っている」。「さらに、プッシュ通知(Push-Nachrichten)を介した番組告知がなされていることも、たとえそれが各々のライブストリームの開始後にはじめて直接的になされるものだとしても、番組スケジュールの承認を支持するものである」。「このプッシュ通知は、ライブストリームも視聴可能なモバイル端末上で直接的にユーザーによって受信されうるものであり、その結果、『タップ』(Einschalten)への誘惑は、伝統的な番組雑誌よりも、より大きくなりうるのである」。

(6)比較衡量に基づく審査

第六に、ベルリン行政裁判所は、本件フォーマットがこうした「番組スケジュール」に基づき配信される「放送」とみなされるか否か問題につき、「包括的な比較衡量」に基づき審査する89。その際、本法廷は、とりわけ前述した「普及作用」、「即時性」、「暗示力」というメルクマールに基づき比較衡量を行い、結論として本件フォーマットは「放送」とみなされると判断したが、その根拠につき以下のように述べる。

まず、本法廷は、「普及作用」につき、確かに本件フォーマットのそれぞれの視聴者数に関する正確な数字は提示されておらず、また、放送州際協定の規定も同2条3項1号にいう同時視聴者数500人未満という規定を除けば、どの程度の視聴者数があれば普及作用が認められるのかにつきなんらの定義もしていないが、本件では「このことは、結果として問題とならない」という。なぜなら、「原告が提示した視聴者数の推定(Wahrunterstellung)について言えば、この数字は、伝統的なテレビニュース番組に匹敵しうる影響力(Wirkungsintensität)ないし射程(Reichweite)を示すものだからである。例えば、被告が提示した添付書類(Anlage B5)からは、英国王室の結婚式に関する原告の番組につき、『n-tv』や『WELT』における同テーマの番組がそれとほぼ同一の視聴者数を獲得していた、ということが明らかとなっている。原告のプレス活動の周知度および成功、さらに(とりわけソーシャルメディアの領域における)そのマルチメディア的な存在も、原告のライブストリームの影響力および射程に寄与しうるものである」という。

次に、本法廷は、「即時性」につき、「上述の放送州際協定2条3項4号にいうジャーナリスティックかつエディトリアルな制作に関しての説明で述べたように」(上記本章3.3(4)を参照)、本件ライブストリームは即時性を有し、それゆえこの基準も満たされていると判示する。

最後に、本法廷は「暗示力」につき、「受信者の観点から見れば、本件フォーマットは伝統的なテレビジョン放送と同一視され、その結果、その放送としての分類は正当化される(・・・)。本件ライブストリームは、その報道の構造、種類、方法、さらにはそのプロフェッショナリズム(Professionalität)・・・という観点で、他の公共放送および民間放送の報道フォーマットおよび娯楽フォーマット(Nachrichten- und Unterhaltungsformate)と差異はない。むしろ、そのようなコンテンツとの類似性および『競合』(„In-Konkurrenz-Treten“)が意図されているようにみえる。したがって、〔本件では〕暗示力ないしリアリズム(Realitätsnähe)という憲法上の基準は、放送における伝統的な報道プログラムと同程度に満たされている」と判示している。

(7)プレスの自由に対する侵害の有無

第七に、ベルリン行政裁判所は、行政手続法114条1文にいうMABBに裁量の瑕疵があったか否かを審査する。この点、同裁判所は、とりわけ基本法5条1項で保障されるプレスの自由の観点から審査するが、以下のように述べて、結論として本件措置はAxel Springer社のプレスの自由を侵害しておらず、それゆえMABBの裁量に瑕疵は認められないと判示した90

「本件監督措置は、基本法上保護される原告のプレスの自由に対する許されない介入でもない。原告の見解とは異なり、リニアの情報・通信サービスの配信は、原告のプレス活動の周辺活動(Randtätigkeit)としては認められない。むしろ、法律による留保は放送番組提供者がプレス企業またはその他の企業であるか否かに関係なしに放送活動に妥当し、また、周波数の有限希少性(Frequenzknappheit)がもはや存在しない場合であっても認可の要件は正当化される」。

3.4.MABBの本決定第5項にいう措置の実質的審査

最後に、ベルリン行政裁判所は、MABBの本件決定第5項にいう措置の適法性に関する実質的審査を行う91。この点につき、本法廷は、前述の2009年10月9日の「全国向け民間放送の領域における費用の徴収に関する規則」に基づけば、「放送州際協定38条2項と結びついた同36条2項1文7号にいう監督措置のためには、250ユーロから5,000ユーロの範囲内で行政手数料を徴収することができる。この定額の手数料は、同規則2条1項の意味でも適切である。この手数料の金額の決定に際して、裁量の瑕疵は明白ではない(行政手続法114条1項)」と述べ、当該措置は適法であると判示している。

4.むすびにかえて

以上のようにベルリン行政裁判所は、本判決において、Axel Springer社の本件フォーマットは、①「公衆」に向けてかつ「同時視聴」のためになされたものであり、②放送州際協定2条3項にいうコンテンツ、すなわち、同時ユーザー(同時視聴者数)が500人未満のコンテンツ、視聴デバイスのストレージから直接的に伝達されるコンテンツ、個人的もしくは家庭的な目的のみに用いられるコンテンツ、ジャーナリスティックかつエディトリアルに制作されていないコンテンツ、もしくは、個別に対価を得て自由に提供される放送番組から構成されるコンテンツには該当せず、③その個々のコンテンツの「頻度」および「規則性」に基づけば「番組スケジュール」に基づき配信されたものと言うことができ、さらに、④「包括的な比較衡量」に基づく審査の結果、放送に固有の「普及作用」、「即時性」、「暗示力」というメルクマールを有していることが明らかであることから、結論として同フォーマットは認可を義務付けられる放送にあたると判断した。このうち、とりわけ③の「番組スケジュール」の問題に関して、同裁判所は、当該フォーマットにつき「複数の番組の内容的および時間的連続性が明確に意図されている場合、つまりそれがフォーマットのエディトリアルなコンセプトの一部である場合には、いずれにしても番組スケジュールが存在する」という基準を定めると同時に、モバイル端末上での「プッシュ通知」による番組予告でも、番組スケジュールの存在を認めるためには十分であると判断している。ただし、本判決は、MABBが主張した、Axel Springer社が少なくとも過失に基づき認可なしに当該放送番組を放映したことに対する「秩序違反として処罰する可能性の指摘」に関しては、MABBのこの措置は違法であると判示している。

本判決に対して、例えばMABBのディレクター(当時)であるアンニャ・ツィマー(Anja Zimmer)は、「本判決は、とりわけ、今やインターネットにおいても放送法による厳格な規制を遵守しなければならないローカルおよび地方の放送事業者のために、機会均等を強化したものである」と述べて、本判決を歓迎する立場を表明している92。ただし、ツィマーは、「2019年においても今なお放送認可権のこの厳格な基準が適切であると言えるか否かは、法政策的に疑問がある」とも述べている。また、学説からも、本判決は確かに、とりわけライブストリーミング・コンテンツが放送に含まれるのか否か、あるいは「番組スケジュール」の概念をどのように定義するのかといった従来から争われていた問題につき一定の判断基準を示したが、本判決の示した「包括的な比較衡量」による審査からも明らかなように、実務において個々のライブストリーミング・コンテンツの審査からどのような結果が生じるのかはいまだ不明である、との指摘もなされている93。加えて、本判決を受けて2020年メディア州際協定が、「番組スケジュール」の概念を「放送番組の内容的および時間的な連続性の確定であり、継続性を指向し、放送事業者によって確定され、かつユーザーによって変更されえないもの」(同2条2項2号)と定義したが、この定義もいまだ明確とはいえないとの批判もある94

もっともベルリン行政裁判所は、本判決において、「行政裁判所法124条2項3号と結びついた同124a条1項1文にいう〔当該法律問題の〕根本的な意義により」本件ではベルリン・ブランデンブルク上級行政裁判所への控訴が認められると判示したため95、この時点で本判決は確定していなかった。それにもかかわらず、Axel Springer社は、最終的に控訴を断念し、本件のすべてのフォーマットにつきMABBに放送認可を申請することで本判決に応じることを決定した96。その理由につき、Axel Springer社は、同社が目下「Bild」のライブストリーム・コンテンツの拡充を計画しているため、と述べている97

実際に、その後、Axel Springer社の子会社であるBild有限会社が、「Bild Digital Live TV」という仮タイトルの下で、「Bild live」や「Die richtigen Fragen」をはじめ新しく数多くのリニアのフォーマットを計画し、2020年1月末に、Axel Springer社はこのストリーミング・コンテンツ「Bild Digital Live TV」の認可をMABBに申請した98。同コンテンツは2020年3月31日にMABBから放送認可を付与され、さらに、「意見多様性の確保」の観点からKEKによる審査も行われたが、同年5月に、KEKは同コンテンツの放送認可に対する疑義はないと判断した99

ドイツにおける以上のような議論は、日本においてもこれまで全くなされてこなかったわけではない。ただし、日本では、インターネット放送の位置づけをめぐって、「放送」の定義にインターネット放送が含まれるか否かという問題のほか、一定のインターネット放送は「放送」にあたるとしても、地上テレビ放送に代表される「基幹放送」とは区別して最小限度の規律のみを課すべきか否かといった問題が提起されているにすぎず100、具体的に民間事業者のインターネット放送やそれ以外のストリーミング・コンテンツをどのように規律すべきかといった本格的な議論をするまでには至っていない。ドイツでは、現在、新型コロナウイルスの影響もあってストリーミング市場が飛躍的に拡大し、ストリーム・コンテンツ提供者の利益が大きく増えている一方で、とりわけ民間のローカルテレビ・ラジオ局が財政的に非常に厳しい状況に置かれているが101、このような状況は日本でも同じであると思われる。それゆえ、本稿で扱ったストリーミング・コンテンツに対するドイツの法制度のあり方およびその運用をめぐる議論は我が国に多くの示唆を与えてくれるものと考えるが、こうした比較検討は今後の研究課題としたい。

(2022年1月28日脱稿)

〔付記〕本稿はJSPS科研費17K03507(平成29年〜令和3年度)の研究成果の一部である。

Footnotes

1 愛知県立大学外国語学部准教授

2 Vgl. F. Ferreau, Rundfunkbegriff und Rundfunkregulierung – Revision erforderlich?, ZUM 2017, 632 (632).

3 Vgl. epd medien 46/2020, S. 9 f.; Medienkorrespondenz 23/2020, S. 12 f.

4 ZAK-Pressemitteilung 02/2017 v. 31. 1. 2017.

5 本件では、ドイツのメディア企業と、当時放映権を有していたカタールのスポーツチャンネル「BeIN Sports」との間の交渉が決裂したことから、同大会のテレビでのライブ中継が行われなかった。そのため、ハンドボール・ドイツ代表チームのスポンサーであるDKBが、その代役として、大会のライブストリーミング配信を行なったという経緯がある。Vgl. epd medien 43/2018, S. 11 f.; epd medien aktuell 203a/2018, S. 3 f.

6 ZAK-Pressemitteilung 07/2017 v. 21. 3. 2017.

7 VG Berlin, Urteil v. 26. 9. 2019 – 27. K 365. 18. 本判決の判例評釈として、Vgl. G. Schmid/P. Taylor, Anmerkung zum Urteil des VG Berlin vom 26. 9. 2019, MMR 2020, 271.

8 第22次改正放送州際協定につき、詳しくは、杉原周治「第22次改正放送州際協定と公共放送のテレメディア任務」情報通信政策研究3巻2号71頁以下(2020)を参照。

9 各州メディア協会の定める手数料に関する規則(Kostensatzung)を参照。また、この点につき、Vgl. Ferreau, a. a. O. (Anm. 2), ZUM 2017, 632 (633).

10 ドイツにおける基本法上および放送法上の「放送」概念をめぐる従来の議論につき、さしあたり、塩野宏『放送法制の課題』(有斐閣・1989)3頁以下、鈴木秀美『放送の自由(増補第2版)』(信山社・2017)159頁以下を参照。

11 「視聴覚メディアサービス指令」につき、さしあたり、市川芳治「欧州における通信・放送融合時代への取り組み」慶應法学10号273頁以下(2008)、安江則子「EUにおける視聴覚メディア政策と公共放送」立命館国際地域研究33号13頁以下(2011)、鳩貝真里「EU法における視聴覚メディアサービスと文化」政経研究50巻4号95頁以下(2014)、鈴木秀美/山田健太編著『放送制度概論』(商事法務・2017)241頁以下等を参照。

12 この「州メディア協会」内部の意思決定機関(Beschlussgremien)は合議制の機関であり、各州メディア協会により「Medienkommission」、「Versammlung」、「Medienausschuss」、「Medienrat」などと呼び方が異なる。この意思決定機関は、州メディア協会の「中心機関」(Hauptorgan)として、とりわけ放送番組の領域における基本決定を下す(Vgl. M. Schuler-Harms, in: R. Binder/T. Vesting (Hrsg.), Beck’scher Kommentar Rundfunkrecht, 4. Aufl., München 2018, § 35 RStV Rdnr. 56.)。州メディア協会によっては複数の合議制委員会を設置しているところもある。州メディア協会につき、詳しくは、鈴木秀美・前掲注(10)163頁以下を参照。

13 Vgl. M. Paschke, in: M. Paschke/W. Berlit u. a. (Hrsg.), Hamburger Kommentar - Gesamtes Medienrecht, 4. Aufl., Baden-Baden 2021, 7. Abschnitt Rdnr. 8.

14 Vgl. Paschke, a. a. O. (Anm. 13), 7. Abschnitt Rdnr. 8, 17.

15 Vgl. Paschke, a. a. O. (Anm. 13), 7. Abschnitt Rdnr. 13.

16 Vgl. Paschke, a. a. O. (Anm. 13), 7. Abschnitt Rdnr. 7.

17 Vgl. W. Schulz, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 12), § 2 RStV Rdnr. 66.

18 この点につき、杉原周治「ドイツにおける公共放送のオンライン・コンテンツと法規制(一)」愛知県立大学外国語学部紀要(地域研究・国際学編)51号118頁以下(2019)、を参照。

19 Vgl. C.-M. Leeb/F. Seiter, Rundfunklizenzpflicht für Streaming-Angebote?, ZUM 2017, 573 (580).

20 Vgl. Leeb/Seiter, a. a. O. (Anm. 19), ZUM 2017, 573 (576, 578).

21 epd medien 20/2018, S. 20, 23/2018, S. 14, 43/2018, S. 12.

22 Vgl. C. Gröpl, Die Reform der Medienkontrolle durch den Zehnten Rundfunkänderungsstaatsvertrag, ZUM 2009, 21 (22).

23 「分権化の原則」につき、詳しくは、Vgl. M. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 12), § 35 RStV Rdnr. 46.

24 Vgl. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 12), § 35 RStV Rdnr. 6.

25 Vgl. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 12), § 35 RStV Rdnr. 45.

26 Vgl. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 12), § 35 RStV Rdnr. 46.

27 Vgl. A. Grünwald, in: G. Spindler/F. Schulter (Hrsg.), Recht der elektronischen Medien, 4. Aufl., München 2019, § 35 RStV Rdnr. 4.

28 Vgl. Grünwald, a. a. O. (Anm. 27), § 35 RStV Rdnr. 6.

29 同事件につき、詳しくは、杉原周治「KEKのAxel Springer決定(1)(2・完)」愛知県立大学外国語学部紀要46号121頁以下、愛知県立大学大学院国際文化研究科論集15号103頁以下(2014)、を参照。

30 Vgl. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 12), § 35 RStV Rdnr. 51; Grünwald, a. a. O. (Anm. 27), § 35 RStV Rdnr. 7.

31 Vgl. K. M. Ritlewski, Pluralismussicherung im 10. Rundfunkänderungsstaatsvertrag, ZUM 2008, 403 (407); W. Thaenert, Nochmals zur Reform der Medienkontrolle durch den Zehnten Rundfunkänderungsstaatsvertrag, ZUM 2009, 131 (133).

32 Vgl. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 12), § 35 RStV Rdnr. 6.

33 Vgl. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 12), § 35 RStV Rdnr. 12, 20, 57; Thaenert, a. a. O. (Anm. 29), ZUM 2009, 131 (133).

34 Vgl. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 12), § 35 RStV Rdnr. 56.

35 Vgl. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 12), § 35 RStV Rdnr. 59.

36 Vgl. Schuler-Harms, in: Binder/Vesting (Hrsg.), a. a. O. (Anm. 12), § 38 RStV Rdnr. 1 ff., 20 ff.

37 Vgl. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 36), § 38 RStV Rdnr. 23.

38 Vgl. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 36), § 38 RStV Rdnr. 28.

39 Vgl. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 36), § 38 RStV Rdnr. 23, 28.

40 同社は、2013年に「株式会社」から「欧州株式会社」(Societas Europaea/SE)に組織変更され、社名も「Axel Springer AG」から「Axel Springer SE」へと変更されている。

41 「BILD online Videos」のHP(https://www.bild.de/video/mediathek/video/bild-live-71144736.bild.html)を参照。

42 Medienkorrespondenz 12/2018, S. 13.

43 Medienkorrespondenz 12/2018, S. 12 f.; epd medien 23/2018, S. 14.

44 epd medien 16/2018, S. 19.

45 epd medien aktuell 102a/2018, S. 1; epd medien 23/2018, S. 14.

46 epd medien 16/2018, S. 19 f., 23/2018, S. 14.

47 epd medien 16/2018, S. 20.

48 Medienkorrespondenz 12/2018, S. 12; epd medien 43/2018, S. 12.

49 Medienkorrespondenz 12/2018, S. 12, 22/2018, S. 14.

50 Medienkorrespondenz 22/2018, S. 14.

51 同決定の判例評釈として、Vgl. T. Schubert, Anmerkung zum Beschluss des VG Berlin vom 19. 10. 2018, MMR 2019, 135.

52 Medienkorrespondenz 11/2019, S. 12 f.; epd medien 15/2019, S. 17.

53 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 40 f.

54 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 42 ff.

55 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 43 ff.

56 Vgl. Schuler-Harms, a. a. O. (Anm. 12), § 35 RStV Rdnr. 87.

57 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 44.

58 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 47 ff.

59 行政手続法28条にいう聴聞、および同45条にいう行政手続の瑕疵の治癒につき、さしあたり、高木光「西ドイツ行政手続法の動向」神戸法学雑誌35巻3号689頁以下(1985)、海老沢俊郎『行政手続法の研究』(成文堂・1992)154頁以下、306頁以下、を参照。

60 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 50.

61 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 54.

62 M. Martini, in: H. Gersdorf/B. Paal (Hrsg.), Informations- und Medienrecht, 2. Aufl., München 2021, § 2 MStV Rdnr. 5.

63 本指令の翻訳につき、井上淳「EU視聴覚メディア・サービス指令(翻訳)」メディア・コミュニケーション68号85頁以下(2018)を参照。

64 放送州際協定では、この「テレビジョン放送(Fernsehprogramm)」という文言のほか、「放送プログラム(Rundfunkprogramm)」(放送州際協定2条2項1号を参照)という文言を使用しているが、両者は別個の概念である。

65 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 55.

66 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 56.

67 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 57.

68 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 59.

69 ここでいう「パフォーマンス」(Darbietung)の概念につき、さしあたり、R. Ricker/P. Schiwy, Rundfunkverfassungsrecht, München 1997, S. 67 f.

70 第12次改正放送州際協定の立法理由書4頁を参照。

71 Vgl. B. Holznagel, in: G. Spindler/F. Schuster (Hrsg.), Recht der elektronischen Medien, 4. Aufl., München 2019, § 2 RStV Rdnr. 22.

72 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 59, 77. この点につき、Vgl. Schmid/Taylor, a. a. O. (Anm. 7), MMR 2020, 271 (272)

73 例えば、Vgl. BVerfGE 90, 60 (87). 同判決につき、鈴木秀美・前掲注(10)253頁以下を参照。

74 Vgl. Holznagel, a. a. O. (Anm. 71), § 2 RStV Rdnr. 22.

75 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 59.

76 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 60 ff.

77 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 61 f.

78 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 63 ff.

79 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 64.

80 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 64.

81 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 65.

82 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 66.

83 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 68.

84 Vgl. Leeb/Seiter, a. a. O. (Anm. 19), ZUM 2017, 573 (576).

85 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 69.

86 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 70.

87 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 71.

88 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 72 ff.

89 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 77 ff. この点につき、Vgl. Schmid/Taylor, a. a. O. (Anm. 7), MMR 2020, 271 (272)

90 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 85.

91 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 88.

92 Medienkorrespodenz 22/2019, S. 34.

93 Schmid/Taylor, a. a. O. (Anm. 7), MMR 2020, 271 (271 ff.).

94 Schmid/Taylor, a. a. O. (Anm. 7), MMR 2020, 271 (273)

95 VG Berlin, Urteil v. 26. 09. 2019 - 27. K 365. 18, Rdnr. 90.

96 Medienkorrespondenz 9/2020, S. 22 f.; epd medien 10/2020, S. 13 f., 15-16/2020, S. 19.

97 epd medien 10/2020, S. 14, 15-16/2020, S. 19. この点につき、「Bild」の(当時の)編集長であったユリアン・ライヒェルト(Julian Reichelt)は、「Bild」のテレビ市場での強化を宣言するとともに、「我々は、国、世界、政治、そして人間の日常というものを、まさに人々が経験している通りに映し出したいのです。そして、公共放送が一部で行っているような、不毛で生温いやり方でそれを行うつもりはありません」(DER SPIEGEL 41/5. 10. 2019, S. 68)と述べ、大衆紙「Bild」の将来的なテレビジョン放送を、ARDやZDFの対抗モデル(Gegenentwurf)として位置付けていることを表明している。

98 Medienkorrespondenz 9/2020, S. 22; epd medien aktuell 88a/2020, S. 4.

99 epd medien aktuell 88a/2020, S. 4.

100 この点につき、さしあたり、鈴木秀美/山田健太・前掲注(11)238頁以下を参照。

101 epd medien aktuell 60a/2020, S. 4, 208a/2020, S. 1 f.

 
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