情報通信政策研究
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調査研究ノート(査読付)
青年期のスマートフォン利用はwell-beingと関連するか
―利用時間と同時利用、スマートフォン依存に着目して
三浦 將太
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2025 年 8 巻 2 号 p. 19-37

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抄録

スマートフォン利用とwell-being低下の関連が、様々な量的研究によって報告されている。先行研究の多くは主にスマートフォン利用時間に着目し、利用時間の大きさとwell-being低下の関連を指摘しているが、利用アプリケーションごとに、そして自己申告による利用時間ではなく実際の利用ログデータを利用して分析をすると、異なる結果が導出されることも明らかになっている。スマートフォン利用には、多様な利用内容、利用方法、そして利用者の心的傾向が複雑に関連するが、スマートフォン利用とwell-beingの関連に関する研究は、それらが十分に考慮・検討されておらず、その結果、スマートフォン利用そのものが危険であるかのような過度の一般化を招き、利用自体が懸念視されている。スマートフォン利用とwell-beingの関連の実態をより具体的に検討・把握するべく、本研究では、高校生1・2年生(n=549)を対象に質問紙調査を実施した。スマートフォン利用時間に加え、利用率の高いLINE利用時間、そしてX(旧Twitter)、 Instagram、Facebook、TikTokの各SNS利用時間は、生徒自身が実際の利用ログデータを確認し、その後回答をした。同様に、スマートフォン利用に伴いロックを解除する動作を指す起動回数も、実際の利用ログデータを生徒に確認・回答を求め分析に利用した。その他、学習中のスマートフォンの同時利用傾向やスマートフォン依存傾向、睡眠・運動時間、well-beingの評価値を取得・分析し、スマートフォン利用における各変数とwell-beingの間にある具体的な関連を検討した。分析の結果、スマートフォン利用時間とwell-beingの間には相関が見られず、SNS利用時間、LINE利用時間とwell-being間には非常に弱い正の相関が確認された。失望感因子などwell-beingを構成する各下位因子別にも検討したが、スマートフォン利用時間との相関は見られなかった。スマートフォン依存傾向はwell-beingとの相関は認められなかったが、下位因子の失望感とのみ非常に弱い負の相関が見られた。利用時間ごとにパス解析をしたところ、SNSとLINEの利用時間はwell-beingとの間に直接の関連が見られた。スマートフォンとSNSの利用時間はスマートフォン依存傾向と関連し、スマートフォン依存傾向はwell-being、または睡眠時間と関連し、睡眠時間はwell-beingと関連することで、スマートフォンとSNSの利用時間はwell-being低下と間接的に関連する可能性が示唆された。これらの結果より、利用内容によってwell-beingとの関連は異なり、利用時間がwell-beingの低下に直接的に関連するのではなく、他変数を介して関連する可能性が示唆された。「スマートフォン利用」とひとくくりにせず、多様な利用方法を前提とし、各変数間の関係を考慮して調査・分析をしなければ、スマートフォン利用とwell-beingのより具体的な関連の検討はできないことが本研究によって明らかになった。

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© 2025 総務省情報通信政策研究所
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