Journal of Applied Glycoscience
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Bacillus cereus由来ブランチングエンザイムによる環状化反応と生産される環状糖質の構造
高田 洋樹加藤 智久高木 昌宏今中 忠行
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2005 年 52 巻 4 号 p. 359-365

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抄録
ブランチングエンザイム (BEと略, EC2.4.1.18) は, 生体内においてはアミロペクチンやグリコーゲンのα-1,6-グルコシド結合に関与する転移酵素である. 私たちは既にBacillus stearothermophilus由来, およびAquifex aeolicus由来BEが試験管内においては, アミロースやアミロペクチンの環状化反応を触媒することを明らかにしている. 本研究では, 中温菌Bacillus cereus由来のBEの作用を詳細に調べた. まず, B. cereusよりBE構造遺伝子を単離し, 大腸菌で発現させて精製酵素を得た. 本BEの作用至適温度は30℃, 至適pHは7.5であり, 50℃30分の加熱により, その活性はほぼ失われた. 本BEをアミロースに作用させたところ, 還元力上昇を起こすことなく基質を低分子化し, 生産物のグルコアミラーゼ処理により, 環状糖が検出された. 以上のことから, 本BEも枝作り反応に加えて環状化反応を触媒することが明確に示された. また, 本酵素が環状糖をも基質とすることができること, それにより開環, または環状構造の小型化を触媒しうることを示した. さらに, これらの反応の組み合わせにより生産されるグルカンの構造について調べた. 本BEは様々な大きさのアミロースから, ほぼ同程度の大きさ (重量平均分子量50,000) の分岐グルカンを合成することが示された.
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© 2005 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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