2022 年 101 巻 1 号 p. 9-15
食品産業は,全世界の人為的な温室効果ガス排出量の3 分の1 を占めると推定され,気候変動の大きな要因となっている。食品の消費パターンにおいて,動物性食品の生産は,環境に好ましくない影響を与える主な要因となっている。動物性食品は,ほとんどの植物性食品よりも,気候変動への影響が大きいことが指摘されている。よって,動物性食品中心の食生活から植物性食品中心の食生活へと移行することで,環境負荷の低減につながる可能性がある。一方で,植物性食品中心の食生活へ移行した場合,消費者の栄養要求を確実に満たす必要がある。本研究の目的は,挽肉(GBM)と植物肉(PBM)の製造プロセスの環境影響評価をLCAを用いて行い,環境持続性と栄養面の分析を行うことにある。そこで,NRF11.3のスコアを用いて,挽肉と植物肉の健康スコアを算出し議論した。試算結果から,挽肉は植物肉に比べて,地球温暖化に8.01倍寄与するととともに,化石燃料の枯渇が1.56倍,土地の使用量が2.87倍,水の使用量が1.81倍になることが明らかとなった。