食品の品質管理は,レストランなどの食品企業にとっても,消費者にとっても重要である。野菜は収穫後も呼吸によって熱エネルギーを放出している。保存温度が上がると呼吸熱が増加し,その結果,糖分の分解が進み,栄養素が減少してしまう。そのため,低温で保存することで食品の品質を保つことが可能となる。本研究では,低温保存により食品の呼吸熱が減少することを確認するために,低温保存時の食品の呼吸熱を温度ごとに測定した。低温保存時の食品の呼吸熱を測定するために,密閉でき,低温で保存でき,温度制御が可能な実験装置を作成した。その中に食品を入れて,食品を入れた直後と1時間後のCO2濃度の変化を温度ごとに測定した。最後に,測定したデータを用いて,呼吸熱を算出した。その結果,低温保存では呼吸熱を抑えることができ,食品の品質を保つことができることが分かった。
食品産業は,全世界の人為的な温室効果ガス排出量の3 分の1 を占めると推定され,気候変動の大きな要因となっている。食品の消費パターンにおいて,動物性食品の生産は,環境に好ましくない影響を与える主な要因となっている。動物性食品は,ほとんどの植物性食品よりも,気候変動への影響が大きいことが指摘されている。よって,動物性食品中心の食生活から植物性食品中心の食生活へと移行することで,環境負荷の低減につながる可能性がある。一方で,植物性食品中心の食生活へ移行した場合,消費者の栄養要求を確実に満たす必要がある。本研究の目的は,挽肉(GBM)と植物肉(PBM)の製造プロセスの環境影響評価をLCAを用いて行い,環境持続性と栄養面の分析を行うことにある。そこで,NRF11.3のスコアを用いて,挽肉と植物肉の健康スコアを算出し議論した。試算結果から,挽肉は植物肉に比べて,地球温暖化に8.01倍寄与するととともに,化石燃料の枯渇が1.56倍,土地の使用量が2.87倍,水の使用量が1.81倍になることが明らかとなった。
再生可能エネルギー(以降では“RE”と略する)の今後の両エースである風力と太陽光発電(以降では後者を“PV”と略し,あとで述べる風力とPVを“VRE”と呼ぶ)により日本の2050年の全エネルギーを供給しようとする際に,VREからの電気出力が天気や昼夜の違いによって変動的であることに起因することから,風力の寄与を大きくする重要性を述べた。すなわち,これらVREからの出力と電力需要の不一致を補うための電力が不可欠であるが,それをなるべく小さくするには,PVに対する風力の割合を3 倍程度大きくするのが有効であることを示した。本文においては,まずそのVREの特性に至る根拠のデータを示したのち,風力の割合を大きくするために今後に必要な事項として,①風力による出力密度(単位面積当たりの出力,単位[W/m2])の向上および②そのための洋上風力開発推進の必要性を述べた。