2022 年 101 巻 12 号 p. 258-264
再生可能な水素の生成と貯蔵を同時に操作することを目指して,クレゾールの存在下でセルロースのモデル物質と見なしたグルコースの水相改質反応を調べた。芳香環の水素化によってクレゾールが水素受容体として機能すると,グルコースから生成した水素はCO2メタネーションなどの副反応に浪費されないだけでなく,いかなる場所へも水素を容易に運搬することができる。さらには,リグニン由来のフェノール性化合物を水素受容体に利用できる可能性もある。本研究では,アルミナ担持白金触媒を用いた反応を493 Kから553 Kの範囲で操作した。また,水素受容体の存在が水素の生成を促進する効果を検証するために,グルコース未添加の反応も実施した。