日本エネルギー学会誌
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論文
Environmental Performance and Operational Analysis of a Sewage Sludge Fermentation Solid Oxidation Fuel Cell System Using Fe2O3 and Kanuma Clay
Kento TORII Hiromu SUGIHARAKiyoshi DOWAKI
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2022 年 101 巻 4 号 p. 66-75

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抄録

本研究では,統合型間接ガス化固体酸化燃料電池(IIG-SOFC)についてLCAの観点から性能評価を行った。下水汚泥のようなバイオマス原料の利用は,カーボンニュートラルという特徴から,例えば,高効率なエネルギー変換が可能なSOFCの組み合わせにより,温暖化への貢献が可能となり,環境影響指標である地球温暖化係数(GWP)を大いに低下させることが期待できる。ただし,バイオマスをガス化した合成ガスに含まれるH2Sのような不純物混入によるSOFCの性能劣化は,耐用年数を低下させるだけでなく,その効用を低下させることになるためH2Sの除去(脱硫)は不可欠となる。一般的に,脱硫材にはFe2O3が使用されるが,環境影響指標である資源枯渇性(ADP)の値は大きくなる。このことから,GWP及びADPの低減策については,比較的環境負荷の小さく,かつ吸着性能が高い吸着材が必要となる。そこで,本研究では,天然素材でありH2S吸着が期待できる鹿沼土(Kc)を吸着材として想定した。なお,これまでの知見からKcはFe2O3に比してH2S 吸着容量が小さいという特徴が知られているため,吸着塔の大きさや吸着剤の交換頻度によっては,Kcを多量に使用しても高い脱硫率が得られるとは限らない。従って,Kcを利用した場合のIIG-SOFC全体の性能について,エクセルギー指標ならびに環境指標を用いて,Kcの最適な利用方法を検討した。この結果,システム全体のエクセルギー効率が最大の28.2%となった。同様に,GWPとADPについては,吸着温度120℃,脱硫率100%及びFe2O3の4.5% をKcに代替したときに最小の値となった。

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© 2022 The Japan Institute of Energy
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