日本エネルギー学会誌
Online ISSN : 1882-6121
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101 巻, 4 号
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目次
論文
  • Yuma HATAKEYAMA, Takehiko TAKAHASHI, Masataka OGASAWARA
    原稿種別: Original Paper
    2022 年 101 巻 4 号 p. 56-65
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    本研究では,リング媒体粉砕を用いて,せん断優位および圧縮優位の2種類の粉砕力を加えてスギ粉末(JCP)サンプルを調製した。その2つの粉砕処理の効果を明らかにするため,JCP試料の粒子径と形状,酵素糖化率,ドメインサイズ,セルロース結晶化度指数(CrI)を調査した。また,粉砕したJCPから分離したホロセルロースの粒子形状とホロセルロースの比表面積(H-SSA)を調査した。その結果,構造変化,粉砕処理の種類と,H-SSAおよび酵素消化率の向上との関係が明らかになった。せん断優位粉砕では,ホロセルロース試料は繊維状の構造になっており,粉砕したJCP試料のドメインサイズは18 nmから8 nmに縮小し,CrIがわずかに減少した(37%から27%)。圧縮優位粉砕では,ホロセルロースの構造は球状になっていた。粉砕したJCP試料のCrIはドメインサイズを縮小させることなく37%から9%に減少した。せん断優位粉砕ではドメインサイズの減少が,圧縮優位粉砕ではCrIの低下がH-SSAの増加に寄与し,間接的に酵素消化性を向上させた。

  • Kento TORII, Hiromu SUGIHARA, Kiyoshi DOWAKI
    原稿種別: Original Paper
    2022 年 101 巻 4 号 p. 66-75
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    本研究では,統合型間接ガス化固体酸化燃料電池(IIG-SOFC)についてLCAの観点から性能評価を行った。下水汚泥のようなバイオマス原料の利用は,カーボンニュートラルという特徴から,例えば,高効率なエネルギー変換が可能なSOFCの組み合わせにより,温暖化への貢献が可能となり,環境影響指標である地球温暖化係数(GWP)を大いに低下させることが期待できる。ただし,バイオマスをガス化した合成ガスに含まれるH2Sのような不純物混入によるSOFCの性能劣化は,耐用年数を低下させるだけでなく,その効用を低下させることになるためH2Sの除去(脱硫)は不可欠となる。一般的に,脱硫材にはFe2O3が使用されるが,環境影響指標である資源枯渇性(ADP)の値は大きくなる。このことから,GWP及びADPの低減策については,比較的環境負荷の小さく,かつ吸着性能が高い吸着材が必要となる。そこで,本研究では,天然素材でありH2S吸着が期待できる鹿沼土(Kc)を吸着材として想定した。なお,これまでの知見からKcはFe2O3に比してH2S 吸着容量が小さいという特徴が知られているため,吸着塔の大きさや吸着剤の交換頻度によっては,Kcを多量に使用しても高い脱硫率が得られるとは限らない。従って,Kcを利用した場合のIIG-SOFC全体の性能について,エクセルギー指標ならびに環境指標を用いて,Kcの最適な利用方法を検討した。この結果,システム全体のエクセルギー効率が最大の28.2%となった。同様に,GWPとADPについては,吸着温度120℃,脱硫率100%及びFe2O3の4.5% をKcに代替したときに最小の値となった。

  • Tetsuo UMEGAKI, Haruka OGAWA, Kazuki WATANABE, Shinobu OHKI, Masataka ...
    原稿種別: Original Paper
    2022 年 101 巻 4 号 p. 76-82
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    本研究ではモリブデン固定化球状中空シリカ‐アルミナの細孔構造がそのアンモニアボラン水溶液からの水素発生反応の活性に及ぼす影響を検討した。細孔構造制御にあたって,テンプレートにシリカ‐アルミナ前駆体をコートする際,界面活性剤である臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムと油滴である1‐ドデシルアミンを使用した。この界面活性剤と油滴の量を調節することで細孔の量が変化し,この量の増大に伴って固定化したモリブデン酸種の結晶性が低下し,不活性種のアルミニウムとモリブデンの複合酸化物が減少することが確認された。さらに固定化したモリブデン酸種の分散性が高く,不活性種の量が少ない試料ほどアンモニアボラン水溶液からの水素発生反応に高い活性を示すことが示唆された。また,モリブデン酸種の固定化量を減少させることによりさらに分散性が向上し,アンモニアボランからの水素発生反応に対する活性が向上することが確認された。

  • Tsutomu KODAKI, Takashi KISHIRO, Yuki SUGIE, Toshiyuki NOHIRA
    原稿種別: Original Paper
    2022 年 101 巻 4 号 p. 83-87
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    イミダゾリウム系のイオン液体である1-butyl-3-methylimidazolium chloride([Bmim]Cl)に耐性のある酵母Saccharomyces cerevisiaeを,[Bmim]Cl 濃度を徐々に高めた培地で酵母を繰り返し培養する適応的実験室進化により単離した。全ゲノム配列解 析の結果,GLO3及びEST2の2つの遺伝子のオープンリーディングフレームに,アミノ酸に変化をもたらす突然変異が生じていることが判明した。すでにイオン液体耐性に関与すると同定された遺伝子には変異が見られなかったことから,この変異株は新しい機構でイオン液体耐性を獲得したものと考えられる。このイオン液体耐性酵母を用いて,セルロースをイオン液体処理とセルラーゼ処理をすることにより得られたグルコースから,500 mM [Bmim]Clの存在下でバイオエタノールを生産することに成功した。

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