2022 年 101 巻 4 号 p. 76-82
本研究ではモリブデン固定化球状中空シリカ‐アルミナの細孔構造がそのアンモニアボラン水溶液からの水素発生反応の活性に及ぼす影響を検討した。細孔構造制御にあたって,テンプレートにシリカ‐アルミナ前駆体をコートする際,界面活性剤である臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムと油滴である1‐ドデシルアミンを使用した。この界面活性剤と油滴の量を調節することで細孔の量が変化し,この量の増大に伴って固定化したモリブデン酸種の結晶性が低下し,不活性種のアルミニウムとモリブデンの複合酸化物が減少することが確認された。さらに固定化したモリブデン酸種の分散性が高く,不活性種の量が少ない試料ほどアンモニアボラン水溶液からの水素発生反応に高い活性を示すことが示唆された。また,モリブデン酸種の固定化量を減少させることによりさらに分散性が向上し,アンモニアボランからの水素発生反応に対する活性が向上することが確認された。