日本エネルギー学会誌
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論文
高品質バイオディーゼル合成における触媒担体と担持量の影響
谷 春樹長谷川 毅横尾 拓村上 弥生朝見 賢二藤元 薫
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2017 年 96 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

MgO/SiO2及びMgO/carbon触媒を用いた接触分解により,油脂類や脂肪酸類から脱炭酸反応を経て高品質のバイオディーゼル(HiBD)が得られることが報告されている。本研究では,触媒担体の種類やMgO担持量の効果を明らかにするために,物性の異なる数種のSiO2及びカーボン担体を用いて触媒を調製し,HiBD生成に対する触媒活性を調べた。ディーゼル留分の選択性は,比表面積,細孔容積の大きなものほど向上した。SiO2担体の粒子径は,生成する炭化水素の2次的な分解に影響し,粒径が大きいほどその反応が抑制された。また,30 nm以下の小さな細孔径をもつSiO2担体の触媒では,脂肪酸から炭化水素への中間体であるケトンの生成が抑制されることが示唆された。カーボン担体については,高比表面積の担体ほどディーゼル留分の選択性が向上するとともに,担体自体が触媒活性を示し,接触分解に異なるメカニズムを与える事が示唆された。炭化水素選択性およびCO2収率はMgOの担持量が増加するとともに上昇し,30wt%で最大となった。

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© 2017 一般社団法人 日本エネルギー学会
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