日本エネルギー学会誌
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論文
Dispersion State of Catalytic Metal Supported on Bio-Char Elucidated Using Energy Dispersive X-ray Spectroscopy: Effects of Catalyst Type and Heating Process
Toshiaki HANAOKAYukihiko OKUMURA
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2017 年 96 巻 3 号 p. 73-85

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抄録

バイオマスを熱分解して得られたバイオチャーにガス化触媒金属(KおよびFe)を直接担持し,熱天秤を用いて1023-1323 Kの範囲でCO2ガス化反応特性を調べた。その結果,K担持バイオチャーにおいて,高いガス化速度定数が得られた。その原因を調べるため,(1)水分を蒸発させ,金属イオンを担持した直後,(2)アルゴン気流中でガス化温度まで昇温させた直後(ガス化直前),の2種類のバイオチャーについて,表面および断面の触媒金属の存在状態をSEM- EDSを用いて観察した。金属イオンを担持した直後は,K原子はバイオチャー表面および内部に均一に担持されていた。また,ガス化温度まで昇温した場合,K原子の一部は放出したものの,ほぼ均一に担持されたままであった。一方,Feイオンを担持した直後は,α-FeOOHおよびα-Fe2O3粒子が主にバイオチャー表面上に担持されていた。アルゴン気流中でガス化温度まで昇温した後は,バイオチャー表面のFe原子の濃度が減少した。Fe酸化物の沸点を考慮すると,ガス化温度への昇温により,Fe酸化物の形態を持つ粒子が,粒子内部に移動したことが観察された。従って,K原子を担持した場合,昇温しても均一に分散した状態が保たれ,多くの活性点が存在する。一方,Fe原子を担持した場合は,粒子を形成しやすいため,活性点が少なくなる傾向である。また,昇温によりその粒子がバイオチャー内部に移動し,CO2が細孔内へ拡散しにくくなる。金属担持バイオチャーに及ぼすこのような昇温の影響により,K担持バイオチャーのガス化反応特性が高いと考えられた。

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© 2017 The Japan Institute of Energy
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