2018 年 97 巻 10 号 p. 307-313
サクラ,マツの落ち葉と天然ゼオライトを混合し,熱電対を付けた枝付きフラスコに入れ,赤外線ヒーターで少しずつ温度を上げて540℃まで加熱した。エチレンの量をガスクロで測定した。落ち葉の構成成分とエチレンガスの発生の関係を調べるために試薬のリグニン,ろ紙,新聞紙も同様に実験した。ゼオライトの効果を確かめるために,ゼオライトを入れない場合についても実験した。 落ち葉の熱分解によりエチレンガスが400℃付近から発生した。エチレンガスはサクラの落ち葉から質量比で3.6%,マツの落ち葉から3.1%得られた。試薬のリグニンからは,落ち葉の場合と比べ,発生量は約3分の2程度だった。ろ紙からも,エチレンが発生したが,発生量は少なかった。リグニンを少量多含有すると考えられる新聞紙からは,より多く発生した。 ゼオライトを加えると,フェノール系化合物の特有の臭いが消え,エチレンガスの発生量が少し増えた。得られたエチレンガスからポリエチレンの合成などができれば,石油の消費を減らすことができ,低炭素社会に貢献できると期待される。