2019 年 98 巻 12 号 p. 333-339
本研究では,リグノセルロースの微粉砕前処理に用いるリング媒体利用粉砕機のスケールアップと連続粉砕に取り組んでいる。その連続粉砕ではリング媒体の内側を未粉砕物が通過する問題が生じている。そのためリング媒体の穴を通過する粉体流を抑制し,粉砕力を高めるために,リングとロッドの組み合わせによる効果を検討した。まず,リングとロッドの組み合わせによるバッチ式粉砕でその粉砕効果を検討した。その結果,大量のスギ粉末の粉砕において,リング媒体の穴にロッド媒体を充填することにより,微粉化効率が向上し,粉砕初期における酵素糖化率が向上した。その結果に基づき,連続粉砕を検討した。粉体流動が抑制され未粉砕物が通過することなく連続粉砕できることを確認した。また,連続粉砕による粉体特性は,ロッドの充填率が40%から50%になることでメジアン径および酵素糖化効率が向上することも確認された。したがって,リングとロッドの組み合わせは,タンデムリングミルによる連続粉砕に有効であった。