2019 年 98 巻 12 号 p. 340-346
バイオコークスは,カーボンニュートラルな新燃料であり,石炭コークスを活用する各産業より,CO2排出量削減対策として期待されている。ガス化溶融炉方式一般廃棄物処理施設は,高い環境性と灰の減容化を達成できる技術として,また,水冷式熱風キュポラは,上下水道用ダクタイル鋳鉄管及びガス管等を製造する鋳物産業で広く用いられており,それぞれ国内に普及している。本研究では,(1)秋田県横手市周辺地域で発生する籾殻,廃菌床及びバーク等の未利用バイオマスを用い,それらを複数混合した安価な多原料バイオコークス製造技術の開発 (2)製造した多原料バイオコークスを上記設備に供給し,定常的に使用される石炭コークス,もしくは鋳物用コークスを多原料バイオコークスで一部代替し,CO2排出量の削減を実現する技術の実証を目的としている。 高温ガス化直接溶融炉において,多原料バイオコークスの使用により,石炭コークスを最大で約51%削減することができた。水冷式熱風キュポラにおいて,多原料バイオコークスの使用により,鋳物用コークスを約5%削減された。しかしながら,キュポラでの利用にあたって,多原料バイオコークス使用による排ガス組成の変化,バイオコークスの保管条件及び機械的強度等,バイオコークスのいくつかの課題が判明した。