2019 年 98 巻 6 号 p. 124-131
日本における大型製材工場が,自らの製材端材を利用してFIT発電所を稼働した場合の採算性改善効果を評価した。以下の2つのシナリオにおいて各種採算性評価指標を比較した。シナリオ1:製材工場は,チップ,鋸屑,プレーナー屑の副製品を製紙会社および敷料会社に販売する。シナリオ2:製材工場は,FIT発電所を隣接地に設立し,副製品をその発電所に販売する。シナリオ2における発電所は,投資額が大きく,投資回収により多くの期間を要するためIRR,NPVは低く算出された。しかしながら,製造した電力は,FITにより20年間の固定買取が保証されている。製材工場における製品の販売単価が3%減少しただけで,シナリオ1の利益は大きく減少するが,シナリオ2は全ての採算性評価指標でシナリオ1より優れた結果となった。