回路実装学会誌
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金属ベースプリント配線板における銅イオンマイグレーションの検討
岡本 健次前田 賢彦芳賀 弘二
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1995 年 10 巻 2 号 p. 108-112

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抄録

汎用インバータなどパワーエレクトロニクス製品では, 小型化・高機能化のための高密度実装基板として熱放散性に優れた金属ベースプリント配線板の適用が拡大している。これらの製品は回路電圧が100~400Vで薄膜絶縁層には1~3kV/mmの高電界が加わることになり, 絶縁層の絶縁信頼性が重要な問題として顕在化してきている。そこで筆者らは, 特に重要と考えられる直流電圧ストレス下の銅イオンマイグレーション現象に着目し, 検討を行った。その結果, (1) 絶縁層の材料によっては加速雰囲気での直流課電試験で絶縁層内部に銅イオンマイグレーションが発生する。 (2) 陽イオン, 陰イオンによらず絶縁材中にイオン性成分が多量に含まれている場合は銅イオンマイグレーションが発生しやすく, 絶縁寿命が極端に短くなる。イオン種としてC1-, SO42-以外にもNH4+の影響が明らかになった。 (3) 試料を高温高湿中の状態で, tanδ, 体積抵抗率を測定することにより絶縁層中のイオン性成分量を予測でき, さらに銅イオンマイグレーションの発生を簡便に判断できる。tanδは50Hz程度の低周波数で測定するのがポイントである。

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© 一般社団法人エレクトロニクス実装学会
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