河川景観の特徴は視点や視線方向によって異なる。本研究は, 河川景観の評価における視線方向の影響を把握し, レパートリー・グリッド法によって視線方向による評価構造の相違を明らかにすることを目的とした。多次元尺度法による分析の結果, いずれの視線方向においても背景の都市化状況が評価を左右する軸として解釈され印象の由来と対応していた。一方, 流軸景では河岸植生, 斜流軸景では高水敷の整備の度合い, 対岸景では護岸の状況とそれぞれの視線方向によって頻度の高かった印象の由来に差がみられ, 多次元尺度法やクラスター分析の結果と対応していたことから, 視線方向による評価構造に相違があることが示された。