2000 年 64 巻 5 号 p. 801-804
薪炭林の役割を喪失し放置された里山林は, 自然遷移により林冠構成木も含め種組成やバイオマス量が, ダイナミックに変化しつつある。その多面的な環境保全機能およびアメニティ機能等に注目するとき, リモートセンシングデータによりその実態を迅速に, かつ的確に捉えることは重要である。本論はその一環として, 福岡市近郊の里山林を対象に, 代表的な常緑広葉樹種として, アラカシ, スダジイ, クスノキを選定し, 春季に撮影した時系列的な航空写真データから, 撮影時期の差による色調変化をRGB値とHSI値により解析したものである。その結果, 若葉・開花による色調の変化や差異によって, 当該樹種間の区分が可能なことが分かった。