抄録
本論文は, 淡路島の北淡町の漁村集落を対象として, 当時の小学生の作文を分析することにより, 漁村集落の家族構成から避難行動および避難空間の特性を明らかにすることを目的とした。その結果, 家族構成や近隣の親戚の有無により避難行動が異なることが明らかになった。また, 避難行動に利用される避難場所にも違いがあることが明らかになった。近隣に親戚がいない核家族では, 最終避難地に直行し, 教育施設・地域公共施設を利用するパターンが, 近隣に親戚がいる核家族では, 親戚の安否確認をとる経由避難が多く見られた。また, 三世代同居家族では, 居住地周辺に避難待機した後, 最終避難地へ直行する場合が多数を占めた。