抄録
経管栄養摂取重度要介護高齢者18名 (64~102歳) を対象に, 新規ビフィズス菌増殖促進物質を含有するプロピオン酸菌による乳清発酵物 (BGS) 摂取の便通・便性・糞便細菌および腐敗産物等に及ぼす影響を検討した. 試験食は凍結乾燥BGSを0.4g含有する粉末状食品とし, 毎日4週間摂取させた. その結果, 試験食摂取に伴い, 排便回数および排便量は有意に増加し, 黒褐色便と悪臭便の割合が有意に減少した. また, 2週間の試験食摂取により, 糞便中のビフィズス菌の検出率は有意に増加し, ウェルシュ菌数は, 100分の1に減少した. さらに, 糞便中の硫化物および糞便pHは, 試験食摂取後有意に低下した. 以上の結果から, BGSの摂取は, 経管栄養摂取重度要介護高齢者の腸内環境および, 便通・便性を改善することが明らかとなった.